<ロッテ7-8阪神>◇12日◇QVCマリン

 虎の会心逆転勝利のもう1人の主役は、マウロ・ゴメス内野手(29)だ。5回にバックスクリーンへ、12号3ラン。前日は適時失策を犯してしまったが、この日は意地の1発。ドキドキ勝利に導いてくれた。

 敗れれば貯金がすべて消える試合で、チームの窮地を救った。まさに4番の本領だった。5回、1点差に追い上げ、なおも2死一、二塁。4球目だ。涌井が投げた甘い直球を思い切り強振すると大飛球が舞う。バックスクリーン上段へズドン!

 衝撃音はすぐに虎党の歓声にかき消された。12号3ランで逆転に成功だ。

 ゴメス

 しっかりとボールをとらえることができたよ。ただ(向かい)風があったので入るかどうか分からなかったけど、ホームランになって良かったよ。

 勝負どころでメンタルの強さを見せつけた。4回には涌井の投球間隔の長さを嫌い、タイムを要求した。「タイミングが合わなかったんだ。厳しい球も多かったよ」。初球からアクションを起こしたが、球審に受け入れられずストライク。顔をしかめ、不満をあらわにした。3球目の直前にもタイムを取る。リズムを狂わされて空振り三振に倒れたが、再戦で間合いをはかりづらい相手を倒した。

 打者は誰でも、体のどこかでタイミングを取る。ゴメスの場合は、太い両腕が「生命線」だ。打席で構える際に2本の腕を大きく揺らしながら間合いをはかる。米大リーグのレッドソックスでプレーした12年でも、これほど大きなしぐさではなかった。関係者は「向こうは直球主体。日本は変化球が多いからね」と説明。球速のわずかな緩急差にも対応するための工夫だ。柔軟に変化できるから大きなスランプは1度もない。

 ロッテにアーチを浴びせ、10球団目の本塁打。17日からの日本ハム戦(甲子園)で1発を放てば、来日1年目から「11球団制覇」を達成する。この話題を振られると、にやりと笑う。

 ゴメス

 それができればいいけど、意識しすぎると力が入る。リラックスして打席でベストを尽くすよ。

 56打点となり、リーグトップの広島エルドレッドを1打点差で追う。前日11日に球宴ファン投票の一塁手部門で1位に浮上し、この日もトップを快走。この日のルーズベルト・ゲームは、この男なくしてなかったはずだ。【酒井俊作】