<西武8-6ソフトバンク>◇28日◇西武ドーム

 デストラーデの再来だ。西武のエルネスト・メヒア内野手(28)が来日初の1試合2発。1回に反撃の口火を切る7号2ランを放つと、7回にはダメ押しの8号ソロで、負ければ自力優勝が消えるチームの危機を救った。今3連戦は「ライオンズ・クラシック」と銘打ち、西武の黄金期のユニホームで戦う。当時、球団史上最強助っ人と呼ばれたデストラーデ級の貢献で最下位も脱出。楽天を抜き5位に浮上した。

 悠々と見送り、ゆっくりと一塁へ走りだした。2点リードの7回。メヒアが振り抜いた打球は高々と舞い上がり、左翼席中段へ飛び込む8号ソロ。デストラーデお得意の弓をひくような派手なガッツポーズはなかったが、「いつもチームが勝つことを目標にプレーしている。その中で2本出て、うれしく思ってるよ」と静かに喜びをかみしめた。

 ファンの期待を裏切らない活躍だった。ソフトバンクとの今3連戦は「ライオンズ・クラシック」と銘打ち、黄金期のブルーユニホームを着用。メヒアの打席では、左翼スタンドからデストラーデの応援歌が鳴り響いた。メヒア本人は球団史上最強助っ人の名前を聞いても、「分からないな…」と苦笑いを浮かべたが、「今日のユニホームはすごく気に入っている。出来れば違うゲームでも着てプレーしたいよ」と、ご機嫌だった。

 プレーボールからの集中力の高さが活躍を支える。3点先制された直後の1回。7号2ランを弾丸ライナーで左翼席に運んだ。「三振だけはしないことを心掛けた。その結果がホームランにつながったね」と明かしたが、これで第1打席での本塁打は4本目。打席別の打率も4割を超える。「1打席目は自分の中で大切な打席。結果がどうであれ、その後の打席に関わってくるから、常に集中していきたいと思ってるよ」。第1打席から仕留めきる勝負強さ。そんな姿も、集中力をたたえられたデストラーデにかぶる。

 現役時代、デストラーデとともにプレーし、黄金時代を経験した田辺監督代行も、「4番の仕事をきっちりしてくれている。デストラーデみたいだね」と、最強男の再来を喜んだ。ベネズエラ出身の裸眼の新カリブの怪人。メヒアが浮上を狙うチームの“メシア(救世主)”になりそうだ。【佐竹実】

 ◆デストラーデ

 キューバ出身。89年途中に西武入団。89~92年と大リーグ復帰後に再来日した95年の計5年プレー。本塁打王3度、打点王2度。「カリブの怪人」と呼ばれ、秋山、清原とのクリーンアップトリオで西武黄金時代を支えた。90~92年日本シリーズで3年連続の初戦第1打席本塁打。右投げ両打ち。<メヒアとデストラーデの共通点>

 ◆初安打が本塁打

 メヒアの初安打はデビュー戦の5月15日日本ハム戦第1打席のソロ本塁打。デストラーデも、初出場の89年6月20日オリックス戦の2ランが初安打。

 ◆勉強家

 デストラーデは積極的に日本語を学び、カラオケでも日本の歌を歌うほどになった。メヒアは来日して約2カ月だが、サインに片仮名で「メヒア」と書ける。

 ◆第1打席に強い

 デストラーデは90~92年日本シリーズで3年連続で初戦第1打席本塁打。メヒアも今季8本塁打中、4本が第1打席。