<日本ハム2-1楽天>◇28日◇札幌ドーム
天国のおばあちゃんにささげる登板だった。楽天青山浩二投手(30)が日本ハム戦で11年4月21日以来の先発登板を果たした。これまで中継ぎとして活躍し、昨季はリリーバーとして日本一に貢献。心機一転の配置転換に挑んだが、5回1/3を投げ6安打2失点(自責0)ながら敗戦投手となった。くしくもこの日は5月に亡くなった祖母ツルさんの四十九日。白星は届けられなかったが、感謝の投球を故郷北海道で見せた。
青山はいつもと違う投球練習を1球1球かみしめた。生まれ育った北の大地で、3年ぶりの先発マウンド。今季は開幕から中継ぎで結果を残せず、2軍で先発に転向した。再びつかんだ1軍の舞台で緊張しないようにと、腕を振った。1回に1死満塁の危機を招く。それでも日本ハム北を141キロ、力を込めた直球で併殺に仕留め、無失点に切り抜けると肩の力が抜けた。「2回以降はストライク先行で、リズムを取り戻せたかなと思います」と尻上がりに調子を上げた。
どうしても勝ちたい、強い思いがあった。この日は90歳を超え、5月に亡くなった父方の祖母ツルさんの四十九日だった。仏教では現世から魂が旅立つという日。「不思議な縁ですよね。そんな日に先発復帰するんですから。きっと力を貸してくれると思うんです」と情けない姿だけは見せられなかった。
忘れられない思い出がある。高校時代、野球のルールが分からないながらも球場に応援に駆けつけてくれた。しかし、なぜかスタンドの祖母は不機嫌だった。「怒っているんですよ。『なんで浩二ばっかりボールを投げさせられているんだ!』って。投手の仕事なんですけど、それすらも分かっていなかったんです」と思い出し笑いを浮かべながら、話した。ともに過ごした、楽しかった時間。白星で感謝を届けたかった。
だが、勝負の世界は無情だった。無失点で迎えた6回1死一塁。二塁へ打ち取った当たりを藤田が悪送球し、先制を許す。1死二塁となった直後も、内野の挟殺プレーの乱れから失点し、自責点は0ながらも無念の降板となった。「リズムが良くなかった。反省して修正していかないと」と唇をかんだ。天国の祖母へ、勝利は届けられなかった。それでも先発の役割はしっかりと果たし、成長した姿は見せられた。マウンドを降りる際に、球場から起こった拍手の多さ。それが証明していた。【島根純】



