<オリックス0-2楽天>◇2日◇京セラドーム大阪

 楽天大久保博元監督代行(47)が初陣を飾った。接戦を制し、今季9戦全敗だったオリックスに一矢報いた。コーチ陣、選手とだけでなく、ベンチ裏に列をつくったスタッフ1人1人ともハイタッチで祝い合った。「今まで星野監督以下、1軍、2軍全員で築いてきたものの勝利。みんなと相談しながら戦った」と、チーム一丸の勝ちを喜んだ。

 非情に徹する覚悟があった。2-0の5回2死一塁で、先発宮川が四球を出すと降板を命じた。残りアウト1つで勝利投手の権利を得るところだった。結果、2番手で抑えた松井裕がプロ初勝利をつかんだ。大久保監督代行は「今日は日本シリーズ第7戦のつもりで戦った。宮川に勝たせたいとか、松井に勝たせたいとかじゃない」と意図を説明。一戦必勝で臨み、糸井にストレートで四球を出した宮川は限界と判断した。

 打線は大きく入れ替えた。嶋を今季2度目の2番に置くなど、右左ジグザグに組んだ。「作戦のことだから」と詳細は避けたが、救援陣が豊富な相手に束で挑んだ。試合中、凡退した打者には、ベンチで積極的に声をかけた。

 くしくも、代行初勝利が松井裕のプロ初勝利と重なった。「2軍で良くなっている姿を見ていた。ストライクを取る方法を身につけている。(ウイニングボールは)松井のものだよ」と、うれしそうに言った。最後は「監督が帰ってくるまでだから。また頑張りましょう!」と元気に締めた。【古川真弥】