<阪神1-0ヤクルト>◇2日◇甲子園
もう心配ご無用!
ストッパー呉昇桓投手(31)が、虎の子の1点を守り、無失点リレーを3人で締めた。救援失敗が続き、信頼がぐらつき始めていたが、力強い石直球と変化球を織り交ぜてピシャリ。甲子園での5連敗(1分け挟む)を止め、チームの勝率も5割に復帰。2連勝で3位に浮上した。
ハイタッチの列に久々のどや顔で入り込んだ。最少点差のしびれる展開には、呉昇桓がよく似合う。切れ味抜群の石直球が復調し、6月8日以来の3者凡退で試合を終わらせた。大粒の汗には夜風が気持ちがいい。チームを勝率5割復帰、3位浮上に導く16セーブ目。試合後は、謙虚に陰のヒーローに徹した。
呉昇桓
自分は何もやっていない。チームの皆さんのおかげ。岩田投手がゼロで抑えて、チームも勝った状態でバトンを渡してくれた。しっかりつなぐことしか考えていませんでした。
交流戦で2敗を喫し、前回登板の6月27日中日戦は同点の延長10回、ルナに被弾。守護神の座も揺らぎかねない結果が続いた。だが苦しみは、逆に投げられる喜びを教えてくれた。韓国時代の10年に右肘にメスを入れることを決断。手術前は悲鳴を上げる肘をかばい、だましだましの投球を続けていた。デビューから華々しい実績を積み重ねていたが、自分のボールが投げられない。落ちていくスターの成績に、世間は黙っていなかった。
呉昇桓
ファンからも「呉昇桓はもう終わった選手だ」と言われました。ショックだった。実際にそうだったかもしれない。でも悔しかった。絶対に復活して見返してやる。それしか考えていませんでした。自分の野球人生の大きな転機だったかもしれません。
悔しさは昨日のことのように覚えている。反骨心を胸に完全復活。海を渡った。だから守護神はいつも投げられる喜びを持っている。不振は頭を使って解決の糸口を探った。投げられれば、何とかなる。「嫌な部分もあったけど、逆にいろいろ考えられた。何が悪かった、どうだったとか」と有効活用。遠投やダッシュで体の使い方を確認した。
これまでファウルで粘られていた石直球は最速152キロを記録し、空振りも3度奪った。打たれる傾向にあった2死からは、大胆に組み立てを変更。140キロ台のスライダーを4球続け、最後は空振り三振に打ち取った。1回無安打無失点で1奪三振。チームの甲子園での連敗も5で止めた。「これからしっかり抑えていきたい」。もう大丈夫、阪神の9回には呉昇桓がいる。【池本泰尚】<呉昇桓の主な痛恨登板>
◆初黒星
5月28日西武戦。1点リードの9回、無死一、二塁とされ、送りバントを自ら処理すると三塁悪送球で同点、さらに暴投で勝ち越し点を与えた。
◆サヨナラ負け
6月3日楽天戦。3点リードの9回、1失点したメッセンジャーを無死三塁から救援したが、犠飛で1点差。さらに2死走者なしから安打、四球で危機を広げ、牧田にサヨナラ三塁打。
◆2死から
同17日の日本ハム戦。1点リードの9回、2死走者なしから一、二塁とされ、西川に逆転2点打。結局その裏に追いつき、延長12回にサヨナラ勝ちも藤浪の白星を消した。



