右肘手術から再起を期す中日吉見一起投手(29)が3日、1軍に電撃合流した。あと1度2軍戦で投げる予定だったが、先発陣の不調もあって急きょ前倒し。先発復帰の舞台は8日ヤクルト戦、昨年5月に右肘を痛めた鬼門の神宮マウンドが有力となった。安定した先発は山井、大野、浜田の3人だけという苦しい台所事情で、救世主を期待され1年ぶり先発だ。

 ついにあの男が帰ってきた。竜の背番号19。1年1カ月も欠けていたピースが、力強いフォームとともに帰ってきた。神宮外苑での全体練習。谷繁兼任監督やコーチ陣、岩瀬らナインから笑顔で生還を祝われた吉見は、満面の笑みで感謝の握手を返していった。

 吉見

 ずっと下で緊張感を持ってやってきたし、心の準備はできていました。(1軍に)呼ばれて拒む選手はいません。戦力になれるように頑張るだけです。

 電撃の1軍合流だった。最終登板は6月27日ウエスタン・リーグのオリックス戦で、今季最長の6回を7安打4失点。あと1度、2軍戦で投げる予定だった。右肘手術から再起後、腰痛を発症したこともあり実戦は4試合12イニングだけ。この日朝倉が降格するなど、安定した1軍先発は山井、大野、浜田の3人しかいない。そこで首脳陣が吉見に状態と意思を確認。谷繁兼任監督や森ヘッドらがこの日のブルペン投球を最終チェックした上で、前倒し昇格が決まった。

 先発復帰は8日、神宮でのヤクルト戦が有力となった。3連戦の初戦というだけでなく、球宴前のヤマ場になる9連戦の初戦。その大事なマウンドを託したあたりに、谷繁監督の高い期待がうかがえる。神宮のヤクルト戦と言えば、昨年5月7日に右肘を痛めて4回1/3で緊急降板し、その後1軍に戻れなかったいわくつきのマウンド。一昨年から4戦4敗中で、通算でも2勝5敗の苦手球場だ。だが燃える右腕は逆襲しか考えていなかった。

 吉見

 あと1年あるわけじゃない。シーズンはあと3カ月しかない。そのための準備もしてきました。チームのために頑張りたい。

 首脳陣は中10日の間隔も考慮し、今日4日からの巨人3連戦は調整で救援スタンバイさせるプランも検討している。ヤクルト戦の次は14日からの阪神3連戦に投入し、9連戦のうち2つを吉見で勝つ計算だ。首位巨人との6ゲーム差を前半で一気に縮め、逆転Vへ弾みをつける。エース復活で、暑くて熱い昇竜の季節がやってくる。【松井清員】<中日吉見の経過>

 ◆13年5月7日

 ヤクルト戦(神宮)

 右肘の違和感を訴え途中降板。翌8日に出場選手登録抹消。

 ◆同6月4日

 名古屋市内の病院で右肘内側側副靱帯(じんたい)再建手術。

 ◆14年2月15日

 春季キャンプで9カ月ぶりに投球練習。

 ◆同5月1日

 オリックス戦(ナゴヤ)

 手術後初の実戦登板。1イニングを3者凡退。

 ◆同8日

 腰の違和感を訴え、次回登板を回避。

 ◆6月11日

 阪神戦(ナゴヤ)

 2イニングを2安打無失点。

 ◆同18日

 ソフトバンク戦(雁の巣)

 今季初先発。右太ももをつり、3回3失点で降板。

 ◆同27日

 オリックス戦(ナゴヤ)

 今季最長の6回を7安打4失点。