球宴の独特な雰囲気が、日本ハム大谷翔平投手(20)を冗舌にした。一塁ベースコーチを務めるなど、終始リラックスムードで初戦を過ごすと、先発登板が決まっている今日19日の第2戦(甲子園)へ向け、具体的な数字目標を口にした。「スピードは持ち味。160キロは今年も何度か出ていますし、短いイニングなので、できる限りの力を出したいです。160キロは目指して頑張りたい」。ファンが期待する夢舞台での大台突破へ。高らかに宣言した。

 6月18日の阪神戦では、同じ甲子園のマウンドで160キロを2度マークした。さらに相手先発が同期生の阪神藤浪。気合が入る環境は整っている。「高校時代は負けているので」。12年センバツでは、花巻東のエースとして大阪桐蔭・藤浪と投げ合い、敗れた。「去年は野手で選ばれたけど、今年は投手」。前半戦で9勝をマーク。監督推薦で選ばれた「投手」として、予定の1イニングに全力投球する覚悟だ。

 18日はベンチから試合を観戦。2年連続の出場にも「周りは全員先輩ばかり」。今年も“下っ端”だったが、他球団の選手ともコミュニケーションを取った。「すごく勉強になる。(投手だけではなく)対戦する打者の方も勉強になります」。ときには投手、ときには野手の目線で、一流の技を貪欲に吸収した。

 昨年は投打で存在感を示し、特別賞を獲得した。年に1度のスターの競演。「この機会に成長して、後半戦に向かいたいです」。歴史に名を刻む剛速球を投げ込み、さらにその先の「大谷伝説」へとつなげる。【本間翼】<過去の藤浪対大谷>

 ◆12年3月21日選抜大会1回戦

 大阪桐蔭・藤浪と花巻東・大谷が投げ合った。藤浪は12奪三振の2失点完投勝利。大谷は8回2/3で11奪三振も9失点。打者としては第1打席で本塁打を浴びせ、3打数1安打1四球。

 ◆13年5月26日交流戦(甲子園)

 藤浪は打者大谷に2二塁打を許し、3打数2安打。

 ◆13年7月20日球宴第2戦(神宮)

 藤浪が6、7回に登板も大谷の打席まで回らず。

 ◆14年3月8日オープン戦(甲子園)

 ともに先発で5回を投げ合った。藤浪は9安打5失点。大谷は2安打1失点で勝ち投手。