<DeNA4-4中日>◇21日◇横浜

 後半反攻を期す竜にとって痛く、重苦しいドロー開幕になった。中日谷繁元信兼任監督(43)は「掘り下げて言うと勝てなかった」と悔やんだ。すべては初回の悪夢で始まった。

 荒木のバスターエンドラン成功など3連打で、開始わずか4球で1点を先制。だが、押せ押せムードは、次の瞬間に凍りついた。無死二、三塁で4番和田一浩外野手(42)が、左側頭部に死球を受けるアクシデントに見舞われた。

 ヘルメットが飛び、苦悶(くもん)の表情を浮かべる42歳に谷繁監督も慌ててベンチを飛び出した。球場も騒然となり、危険球退場の山口もぼうぜん…。和田は担がれて下がったベンチでも意識がもうろうとした状態で、救急車で横浜市内の病院に搬送された。

 試合は無死満塁で再開されたが、壮絶な光景にのまれたように、来日初スタメンのゴメスが二塁併殺打。続くエルナンデスも二飛に倒れ、大量得点機は2点だけに終わった。2000安打まであと21本に迫り、7月打率4割2分9厘と絶好調だった4番を欠いた打線は、その後沈黙した。2回に高橋周がソロ、8回は和田の代役松井佑が同点ソロを放ったが、バント失敗などミスも多発。再三の得点圏であと1本が出ず、10残塁の拙攻の山を築いた。

 幸い、和田は精密検査の結果脳は異常はなく、意識もはっきりしているという。だが、今日22日以降の出場は微妙だ。谷繁監督は「いまのところ異常はないと言っているんで…。明日は様子を見てからですね」と祈るように話した。右脇腹痛でスタメン落ちが続く大島は、この日初めて守備に就いたが、ルナと平田は戦線離脱中。ただでさえ、主力に負傷者が続出している状況で、災いの追い打ちだ。

 勝ちのない12回を守護神岩瀬が懸命に締め、4時間58分の今季最長試合は、何とか負けを免れた。だが総力戦の末、精根尽き果てた横浜ナイトには、誰の笑顔もなかった。【松井清員】