<阪神3-2巨人>◇22日◇甲子園

 阪神ランディ・メッセンジャー投手(32)はまさしく獅子奮迅だった。6回2死まで無安打無失点に抑える杉内に負けじと腕を振った。1回2死。右翼から左翼方向に吹く風にうまく乗せられ、亀井にソロを浴びた。だが、それ以降は低めを丁寧についていく。走者を背負いながらも得点は許さなかった。白星こそつかなかったが、助っ人は何よりチームの勝利を喜んだ。

 「勝ったのが一番。初回の本塁打以降は風のことも頭に入れながら1点に抑えられて、いい仕事が出来たと思っています。今日は全球種よかった」

 打線が杉内攻略に悩むなら、自ら切り開くまでだった。1点を追う6回2死。真ん中のスライダーをとらえた。打球は浜風に乗りフェンス直撃。この試合杉内から初めて「H」ランプをともした。さらに上本が左翼線二塁打を放つと、一塁から三塁へ激走。代打新井良の右前2点適時打でホームを踏んだ。「感触はよかった。スライダーを狙っていたんだ」とニンマリ。その後は泥だらけのユニホームで仁王立ち。マウンドで勝ち気をたぎらせた。

 マウンドで闘志をむきだしにするには、家庭でのリラックスタイムが欠かせない。18日から発売されている「メッセンジャーTシャツ」。自宅に持って帰ると、愛娘の笑顔がはじけた。職場のパパのイラストが、かわいらしくほどこしてある。すぐにお気に入りになった。球宴期間の休日中、どこに出かけるにも着るようになった。

 「脱ぎなさいって言うまで脱がないんだ。そのくらい気に入っているよ。本当にずっと着ている」

 必ず家族を招待する甲子園での試合。この日も愛娘は元気に甲子園を走り回った。着ていたのはやや大きめのメッセンジャーTシャツ。大男の癒やしに違いはなかった。7回6安打1失点。惜しくも阪神の助っ人史上初となる巨人戦4連勝は、お預けとなった。だが、立ち向かう姿勢はチームを鼓舞するのに十分。ファンから自然発生的に起こったメッセンジャーコールが、それを物語っていた。【池本泰尚】

 ▼メッセンジャーの巨人戦4連勝はお預けとなった。2-1とリードした9回2死から呉昇桓が高橋由に被弾し同点となり、勝利投手の権利が消えた。これまで阪神の外国人投手としては64、67年バッキー、88、90年キーオ、14年メッセンジャーの3連勝が最長。また阪神投手の巨人戦での最長連勝は8で、47~48年梶岡忠義、79年小林繁の2人。さらに阪神外国人投手の巨人戦勝利シーズン最多は67年バッキー、88年キーオの5勝。