<巨人2-2広島>◇1日◇東京ドーム

 きょうも頼むぞ!

 丸!

 東京ドームに乗り込んでの巨人3連戦は両者譲らず延長12回引き分けとなった。攻撃の立役者は広島丸佳浩外野手(25)だ。1回に巨人菅野から先制15号ソロ。チームに、そして赤ヘルファンに勇気を与える一撃だった。

 王者巨人を相手に広島が全力で戦った。なんども得点圏に走者を送ったが終盤、勝ち越すことはできなかった。だが負けもしなかった。延長12回ドロー。23年ぶり悲願の優勝へ。超えなければならない相手と敵地での戦いに、決してひるむことはなかった。

 先手を取った。菊池との「キクマル」コンビで売り出す丸が先制の打ち上げ花火を東京ドームに咲かせた。1回、2死走者なしからだった。

 打球が上がった瞬間、巨人先発の菅野はボールの行方から目を切った。観客はホームランか否かではなく、飛距離に注目した。3番丸が自己最多を更新する15号を決め、巨人3連戦の幕開けをド派手に飾った。

 「カウント有利でしっかりとスイングすることを意識していた。完璧な当たりでしたね」

 1回2死、3ボール1ストライク、真ん中に入ったカットボールを文句なしのタイミングでとらえた。大飛球は高速のまま右翼2階席に飛び込んだ。推定飛距離140メートルの特大弾で先制点をもたらした。

 3・5ゲーム差で追う首位巨人との敵地3連戦、その初戦の初打席だった。昨季20打数9安打の打率4割5分と打ち崩し、今季も試合前の時点で7打数3安打、2本塁打と抜群の相性を誇る菅野が相手。いきなり結果を出すところが頼もしい。

 選手会長の梵も後輩の勝負強さについて太鼓判を押す1人だ。昨年からロッカールームの空き時間などで本格的に将棋を楽しむようになったというが「丸は歯ごたえがある」と評する。「あいつは頭もキレるし、勝負強い」。グラウンドでも常に先手を読み、相手を打ち砕いている。

 引き分けで始まった8月戦線。巨人、そして阪神と上位との戦いへ、丸はかかすことのできない男だ。