<巨人5-1阪神>◇13日◇東京ドーム
巨人が跳んで、走って、首位の座を死守した。阪神との負ければ首位陥落の一戦で、スキのない野球を展開。一塁手の阿部慎之助捕手(35)がダイビングキャッチを連発し、打線も長野の先頭打者弾に好走塁を絡めて追加点を積み重ね、先発小山を援護した。王者が1球に執念を燃やし、快勝で2位阪神との差を再び1・5ゲームに広げた。
阿部の巨体が宙を舞った。3回1死一塁の守備。岩田のバントが一塁側ファウルゾーンへの小飛球となった。急造一塁手が突進する。倒れ込むように左手を伸ばして白球をつかみ、右ひざが地面に着いた反動で体が前に吹っ飛んだ。チーム野手陣で1番重い97キロのキャプテンが見せた武骨なダイビングキャッチ。「ダイブしようと思ったけど、捕れて良かった」と照れた。
負ければ6月7日以来の首位陥落という状況下で、仲間の魂を震わせた。村田は「阿部さんのプレーでチームがまとまった」と結束した。
阿部の舞いは1度だけではない。7回無死一塁、一塁線を襲うゴロを横っ跳びで止め、ベースにタッチ。素早い二塁送球で併殺に持ち込んだ。7日のDeNA戦では一塁でミスを連発。翌日は「判断の難しい打球が来るんだよな。ある意味、持っているのかな。それも困るけど」と苦笑いしていたが、この日は美技で猛虎の追撃ムードを遮断した。「大西さん(守備走塁コーチ)が速い球を(ノックで)打ってくれたのが生きた」と感謝した。
プレーボール直前のボール回しでは先発小山に全力で投げた。「闘魂注入ボールだな」。魂は全員に波及した。初回1死二、三塁で村田は三ゴロを放ち、打った瞬間に走るギャンブルスタートで三塁走者の橋本が果敢に本塁に生還。2回2死一、三塁では二盗を阻止しようとした梅野の送球を上本がこぼしているわずかなスキを突いて三塁走者の長野が本塁をかいくぐった。ルーキー小林も快走を見せた。3回無死一塁で併殺を狙った井端の一塁送球がそれたが、カバリングしていた小林が後逸することなく止めた。打者梅野と並走した捕手の域を超えた快足に場内がどよめいた。「100回に1回、1000回に1回かもしれないけど、日々の準備なので大事だと思う」と全てを注いだ。
苦しむチームを守りと足が救った。原監督は後半戦開幕直後に「今年は突出した数字はない。守備と投手がいいから首位にいる。野球は守りよ」と実感していた。本調子ではないが、勝利を呼び込む引き出しは無数にある。「(阿部は)必死の中でいいプレーをした。これから佳境に入る。力の見せどころだ。もうなっているかもしれないけどね」。巨人は追い込まれてからが強い。【広重竜太郎】



