渡辺監督、甲子園の空から見ていますか-。横浜(神奈川)がエース織田翔希投手(3年)の10奪三振完封で花巻東(岩手)に勝利。08年夏以来18年ぶりとなる4強入りを決め、村田浩明監督(40)は試合後、涙を流した。17日に81歳で亡くなった甲子園春夏5度の優勝を誇り、歴代5位の通算51勝を挙げた渡辺元智(わたなべ・もとのり)さんに勝利を捧け、甲子園の空を見上げた。
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横浜の巨星を失った悲しみを、矜持(きょうじ)へと変えた。前日17日に渡辺元智元監督の訃報(ふほう)を聞いたエース織田翔希投手(3年)が悲しみをこらえ、123球10奪三振、今大会初完封でゲームを支配した。
「昨日はショックで現実を受け止められなかった。でも勝つ姿を見てもらいたいと思うようになった」
立ち上がりから甲子園記録の自己最速タイ、156キロの直球で押し込んだ。「先頭に真っすぐを狙い打たれた」と察すると、中盤からギアを切り替えた。脇山魁音捕手(2年)と綿密にコミュニケーションを取り、鋭く曲がるカットボール主体の組み立てへと変更。打者の反応も見極めた圧倒的な内容だった。
投げ終わり、織田は意識的に顔を上げた。「渡辺監督から『視野を広く持て』と言われた言葉が一番印象に残っている」と振り返る。「自分の投球ばかり追いかけず、対相手で考えろと。下を向かずに、上を向くように心がけている」。毎イニング教えを反芻(はんすう)し、9回にも156キロを連発した。
「レジェンドだけど、本当におじいちゃんのような存在だった。悪いところがあるとすぐに連絡をくれた」。10日の1回戦、沖縄尚学戦前に電話で激励された「頑張れ」が最後の言葉となった。「感謝の気持ちと、必ず勝って恩返ししたいという思い。勝つことに意味があるので結果として優勝したい」と頂点だけを見据えた。【鳥谷越直子】

