<日本ハム4-1ロッテ>◇13日◇札幌ドーム

 日本ハムのルーキー浦野博司投手(25)が、5勝目をプロ初完投で飾った。ロッテ戦で9回3安打1失点。テンポ良く投げ込み、バックの堅守にも助けられて106球で相手を牛耳った。日本ハムの新人の完投は07年の吉川以来7年ぶり。本拠・札幌ドームでの初勝利で新人王争いにも急浮上した。浦野の好投でチームはロッテに7連勝。今カード勝ち越しも決めた。

 最後の最後で、静かに笑った。9回。空振り三振。ワッと沸く球場の中心で浅黒い顔から白い歯をのぞかせた。「本当に勝てて良かった」。9回3安打1失点でプロ初完投勝利。本拠地初勝利のおまけ付きだ。初めてのお立ち台から眺める景色は、少し刺激的だった。緊張を隠すようにクイッ、クイッと何度も帽子のつばを握った。「完投よりも勝つって、あらためて難しいとプロの世界に入って思った」。初々しく、手にした5勝目をかみしめた。

 踏ん張って、道を開いた。1回に2四球から2死一、三塁のピンチをつくった。2回以降は爽快にテンポを築いた。3度の併殺も追い風となって後押ししてくれた。「守備に助けられ、良いリズムで投げられた」。4位ロッテを突き放し7連敗後、初の連勝へと導いた。一時は中継ぎ配置も協議されたが、その後の好投で変わらず先発を担うことになった。栗山監督は「(継投など)いろんな準備はしていたけど、よく投げてくれた」とルーキーながら堂々の奮闘をたたえた。

 ひそかな交流が支えになった。唯一のぜいたくは後輩を連れての食事。後輩の食べたいものを注文して、世間話を楽しんでいるときがプロになったと思う瞬間だ。「本当に欲がない人間。自分のために、お金をつかうことがほとんどないです」と自己分析。時にはイジられキャラも買う。同期で年下の石川亮が投球フォームをまねて笑いを取っても笑顔のまま。「あとは?」と催促して、さらにその場を盛り上げる。気取らない自然体な人柄で慕われている。

 無欲な胸に秘めている野望がある。「車は欲しいとは思います」。原点は静岡にある。実家の茶畑農家では軽トラックを運転。近所のコンビニへ行くときは華麗なハンドルさばきで、わずかなスペースに軽トラックを駐車する。「プロ並みですよ」。1軍定着のご褒美として車の購入を検討している。「普通のでいいんです。地味でしょ?」。ターゲットは高級外車ではなく、燃費のいい普通自動車だ。

 鮮やかなタイトルも見えてきた。新人王争いへ食い込んだ。日本ハムの新人5勝は11年に6勝した斎藤以来3年ぶり。7勝の上沢、ロッテ石川がライバルになってくる。「目標としては1番。狙わないといけない」。新たに芽生えた欲求。控えめに静かに進んでいく。【田中彩友美】

 ◆パ・リーグの新人王争い

 13日時点で投手では上沢(日本ハム)と石川(ロッテ)が先発ローテーションに入り、ともに7勝を挙げリードしている。それを浦野(日本ハム)と吉田一(オリックス)がともに5勝で追っている。野手では規定打席には達していないが、加藤(ロッテ)が58試合に出場し、打率2割6分3厘、3本塁打を記録している。