<日本ハム4-1ロッテ>◇13日◇札幌ドーム

 熱い夏がやってきた。泥臭く、それでいて鮮やかに、日本ハム栗山英樹監督(53)の振るったタクトが勝利を引き寄せた。2点リードの6回1死一、三塁の好機。中島卓也内野手(23)への初球。サインは、スクイズ。決定的な4点目を生む打球が、一塁線へ転がった。「どうしても点が欲しかったんでね。『攻めるんだ』というのを前面に出して戦っている。攻めダルマが一番強い」。まだあどけなさの残る23歳の中島は「準備はしていました」と、高校球児のような笑顔で、満足そうに振り返った。

 中島は8回無死一塁の守備でも、二遊間を襲った強烈な打球に身を投げ出して反応し、併殺を完成させた。チームとしてはこの日3つ目の併殺。「タク(中島)のプレーが大きかった。若い人たちが躍動してくれるのはいいこと」。指揮官は目を細めた。

 11日に開幕した夏の甲子園。チームを預かる身となり、すべての試合を目にすることはなくなった同監督だが、キャスター時代の経験は財産になっている。「朝から4試合、ずっとネット裏から見ていた。勉強になることばかりだった」。視線の先で大粒の汗を流していたのは、負ければ敗退の球児たち。ひるがえって、いま。首位ソフトバンクとは13・5ゲーム差。一戦必勝の立場に、自分たちがいる。

 試合後、スタンドからはファンが勝利の時に歌う応援歌が響いた。2夜続けて聞く“校歌”。そして同一カード3連勝がかかる今日。06年の優勝投手・斎藤佑樹投手(26)が、マウンドに上がる。【本間翼】