<巨人4-1阪神>◇14日◇東京ドーム

 巨人が誇る「39歳の熟練コンビ」が阪神との首位攻防3連戦の勝ち越しに導いた。4回に高橋由伸外野手がヒットエンドラン、井端弘和内野手が犠飛で決勝点を奪った。同い年2人が活躍し、宿敵とのゲーム差を2・5に広げた。

 井端は勝負に徹し、鉄仮面を崩さなかった。4回1死満塁。2ボールから阪神藤浪の真ん中の151キロ速球を狙うも、三塁走者の坂本の頭上を襲う痛烈なファウル。だが仕留め損ねたという悔恨も、味方への直撃を免れたという安堵(あんど)も、にじませない。「(ミスと)悟られたくない」。次の151キロの外角高め直球を、逆らわずに決勝犠飛を中堅右へ運んだ。

 12日の初戦で満塁で凡退していた。「意識していた。満塁は嫌いじゃないんでね」。原監督が「鬼のような顔をしている」と評するベテランは勝負の鬼となり、やり返した。

 お膳立ても同い年の熟練、高橋由だった。1死一塁から外角低めの150キロ直球を左膝を地面に着きながら一、二塁間へヒットエンドランを決めた。「とにかく直球を空振りしない。変化球なら勇人(一塁走者坂本)の足なら空振りしても二塁へ行ける。絶対に転がす」と任務を遂行。通算850勝を達成した指揮官も「コース的に難しいのに1球で仕留めた。技術が局面を開く?

 異議なし!」と、たたえた。

 プロで生き抜く心構えを次世代へと伝えている。井端はルーキー小林を食事に連れ「誠司、大事なことは全部教えるよ」と言った。背筋を伸ばした一回り下の青年に野球だけでなく、お金に対する考えも伝えた。「無駄なお金は使っちゃいけない。自分が納得できるものに使うんだ」。井端も中日時代の若き日、寮を出て最初に住んだのは家賃10万円に満たないアパートだった。「家にいる時間も少なかったしね」。隣の部屋には荒木が引っ越してきた。平凡な住まいからアライバが羽ばたいた。プロの華やかさは表面だけ。日陰の努力を積み重ねていることを小林に教えたかった。

 巨大戦力の前では輝かしい実績は関係ない。2人は前半戦を控えとして過ごした。井端は開幕前から覚悟していた。「開幕から先発で出られると思っていない。終わってみてレギュラーになれればいい」。言葉通り、勝負の8月に存在感を大きくしている。「こういうゲームは嫌いじゃない。力が逆につく勝ち方だと思う」。頼もしき熟練の男たちが、優勝へと後押しする。【広重竜太郎】