<巨人4-1阪神>◇14日◇東京ドーム

 阪神藤浪晋太郎投手(20)はグラブをたたいてガッツポーズを繰り出した。1-2で迎えた7回2死三塁、長野を150キロのストレートでつまらせた。ねじ伏せた。力ない飛球を自らつかむと、巨人打線を抑え込んだ手ごたえを全身で表現した。

 「調子は悪くなかったんですが、勝てないと意味がない。悪くはないんですが勝たないとだめですね…」

 藤浪は表情を変えずに振り返った。7回3安打2失点で5敗目。プロ入り後、7戦無敗(5勝)だった8月に初めて喫した黒星だった。チームも重要な3連戦を負け越し、2・5ゲーム差と突き放された。ただ、敗れても猛虎が前を向ける理由がある。それが藤浪の投球だった。

 初回、先頭長野のバットの先っぽに当たった打球が不規則なバウンドでゴメスの脇を抜けていった。不運な二塁打をきっかけに、坂本にはカットボールを左翼フェンスまで運ばれて先制を許した。4回には先頭打者への四球をきっかけに井端の犠飛で勝ち越された。

 「(井端の犠飛は)つまらせようと思ったんですが…。四球からの走者。そこらへんじゃないですか」

 藤浪が自省した通り、わずかな隙を得点に結び付けられた。だが、力で負けたわけではない。ストレートは7回にも、153キロを計測したように最後まで衰えなかった。球速以上に、巨人打線が速球をとらえた場面は最後までなかったという事実が、両者の力関係を物語っていた。

 6回には阿部、高橋由、村田の看板トリオを3者連続三振に斬った。決め球はすべてフォークだった。

 「そこまで使っていなかったボールだったので」

 速球の残像があったのか。落ちるボールを我慢できるはずの巨人主力打者が完全に振らされていた。この場面もまた、藤浪の直球の威力を物語っていた。

 今季初めて任された巨人戦で黒星はついたものの、強烈なインパクトを残した。今後の展開も見据える中西投手コーチは試合後に言った。

 「晋太郎はよかった。(次も巨人戦に)いかせられるな」

 2週間後には再び東京ドームでさらにしびれる戦いがある。9月の9連戦には最後の大勝負が待っている。そこに藤浪がいく-。本当の勝負はこれからだ。【鈴木忠平】