<中日6-0ヤクルト>◇16日◇ナゴヤドーム
勝ち頭の意地で、苦手打線を封じた。中日山井大介投手(36)が2安打完封でチームトップの9勝目を挙げた。昨年6月28日DeNA戦でノーヒットノーランを達成した右腕が、7回2死から雄平に左前打を許すまで無安打。2年連続の偉業こそならなかったが、137球で9回を投げきり、猛威を振るっていたヤクルト打線を眠らせた。
山井はマウンドで思わず苦笑いした。7回2死走者なし。高めに浮いた114球目フォークをヤクルト雄平にレフト前に転がされた。「7回に入ったところでちょっと意識しました。意識したら打たれますね」。無安打無得点試合まで、あと7アウト。ドーム全体がざわつき始めたところで初ヒットを許した。
8回まで3四球で1安打。快投を支えたのが、キレを増した直球だった。3回には先頭から2連続四球も、新垣を空振り三振。山田、上田をともに伸び上がるような直球で連続ファウルフライに仕留めた。谷繁元信兼任監督(43)も好投の要因を「要所で真っすぐがよかった。フライも打たせていた」と分析。9回先頭の山田に2本目のヒットとなる中前打を許したが、二塁さえも踏ませない。07年日本シリーズでの8回完全投球、そして昨年6月のノーヒットノーラン。過去の快投を思い起こさせる、完璧なマウンドだった。
意地とプライドが詰まった志願の137球だった。チームはこの試合までヤクルトに6勝10敗。16試合で86失点、防御率5・51とボコボコにされてきた。山井自身も2日の前回対戦で4回6失点で負け投手になった。この日も3割打者がズラリと並んだが「ヤクルトに借金作ってるんで、個人的にも苦手と思われたくない」。打たれっぱなしはゴメンだとばかりに、今季初完封で「お返し」した。
首脳陣からは2度、交代を打診された。初ヒットを打たれた直後と、8回裏の打席に入る直前だ。だが、どちらも山井は首を横に振った。
「250球投げても完投したいというのがあった。完投できるぞというのも見せられた。少しでも中継ぎ陣を休ませたかった」
左肘違和感の守護神岩瀬と不調のリリーフエース浅尾が2軍調整中。苦しいブルペンを休ませたのは36歳勝ち頭のおとこ気だった。開幕からローテーションを守り9勝2敗、防御率2・98。自身初の2桁勝利も、もう目前だ。【桝井聡】



