左肘の張りで2軍調整中の中日岩瀬仁紀投手(39)が18日、本格的な投球練習を再開した。変化球を交えてほぼ全力の30球を披露。8月中の1軍復帰が視野に入ってきた。入団1年目から15年継続しているシーズン50試合登板は微妙だが、絶対守護神として勝負どころで復帰する。

 背番号13が「鉄腕」と呼ばれる理由がある。努力と経験でコンディションを維持し、当たり前のようにマウンドに上がる。積み重ねが今の絶対的な地位を築き上げた。岩瀬の象徴とも言える数字。それがプロ1年目から途切れることのない15年連続50試合登板だ。大記録がついにストップする-。そんな問いに、本人の反応はあまりにもあっさりだった。

 「まあ、無理でしょうね。普通に考えて」

 その言葉どおり、16年連続50試合は確かに厳しい状況だ。今季はここまで34試合に登板しているが、チームの残り試合数はあと36試合。今すぐに1軍昇格しても、16試合に登板することは難しい。ただ、そんなことは重要ではないとばかりに言葉をつないだ。

 「そこを目指してやっているわけじゃない。チームがこういう状況なので、少しでも力になれるようにやっていきたい」

 頭に浮かべたのは自身の記録ではなく、チームの優勝だった。この日は炎天下のナゴヤ球場で気迫のこもった投球を続けた。今月9日に2軍落ちしてから初めて捕手を座らせて本格投球をスタート。あふれ出る汗をぬぐい30球を投げた。今月中の復帰へ道筋も見えてきた。

 「何の問題もなくできた。(実戦復帰は)これから話し合うけど、そんなに遠くはないというか、近くには投げられる」

 首位巨人は5・5ゲーム差、2位阪神は4ゲーム差とまだ射程圏だ。今日19日からの阪神(京セラドーム大阪)巨人(東京ドーム)との6連戦でその差を一気に縮めることも可能だ。岩瀬はオフに胴上げ投手ならぬ“胴上げ捕手”を目標に挙げた。優勝を決めた瞬間に、マウンドから真っ先に捕手の谷繁監督に抱きつく。そして持ち上げる-。記録のためではない。大逆転Vのため、守護神は大事な場面で帰ってくる。【桝井聡】