<阪神8-1中日>◇19日◇京セラドーム大阪

 どとうの3連勝で阪神ランディ・メッセンジャー投手(33)がハーラートップに躍り出た。1回無死一、三塁のピンチをしのぐと、援護も受けながら5回まで無失点とすいすい。6回に打球が当たり、失点もしたけどこの回は投げきり、11勝目をむんず。9三振を積み重ねた今季180奪三振は断トツだ。2冠王もいけんじゃーねーの?

 打球が当たっても、メッセンジャーには関係ない。ボールをポンポンともてあそび、駆け寄るスタッフを制した。6回1死一、二塁で藤井の打球が右足首付近に当たる不運な安打で失点。しかし最後の力を振り絞って後続を断った。好調ではなかったが6回5安打1失点。138球の熱投で、ハーラー単独トップの11勝目を挙げた。

 「何とか粘って投げられたよ。奪三振王は昨季取ってるし、誰にも渡したくはないね。ぜひ防衛したい」

 危機を救ったのが要所で奪った9奪三振だった。1回、いきなり二塁打を浴びバントに自らの失策が絡んで無死一、三塁のピンチを背負った。だがルナ、平田を連続三振。いつものフォークが使えず、カーブを決め球に選択。直球とのコンビネーションもさえた。粘投が援護を呼び込んだ。

 これで2年連続で180奪三振に乗せた。伝説の右腕バッキーですら1年しか達成したことがない「偉業」だ。メッセは記録に挑戦するたび、その名前を何度も聞いてきた。来日当初は知らなかったが、記録を聞くたび興味がわいた。尊敬し、知りたい、超えたいと思うようになった。

 「バッキー」は日本人にも発音しやすいように着けられた通名の登録名だ。字面通りの発音だと「ジン・バックエ」となる。メッセはそんなエピソードも知っている。バッキーの情報は一通り頭に入っている。

 「どんなに素晴らしい投手だったかは知っている。こうして話を聞くたび、名前が出てくる。自分もそうなれたらうれしいね」

 もう同じ領域に足を踏み入れていると言っていい。大事な6連戦の初戦を奪い、これで8月負けなしの3連勝。次戦は26日巨人戦に向かう。「完璧はなかなかないけど、マウンドに上がったら常に一生懸命だよ」。最多勝と最多奪三振の同時受賞となれば、セ・リーグでは68年江夏以来。メッセはまた、レジェンドを視界にとらえた。【池本泰尚】

 ▼阪神メッセンジャーがハーラー単独トップの11勝目を挙げ、通算50勝目。阪神外国人投手の50勝はバッキー(100勝)以来。今季の奪三振は180個目で、昨季マークした自己最多の183個にあと3個と迫った。阪神に限らず歴代外国人投手では64年バッキー(200個)しか達成していないシーズン200個の大台が見えてきた。