<広島1-7巨人>◇16日◇マツダスタジアム

 重たい完敗だ。広島は首位巨人との直接対決第2ラウンドに敗れ、ゲーム差を5に広げられた。先発野村は6回途中2失点と粘ったが、2番手以降の救援陣4人が全員失点。打線は菅野を打ちあぐね、2回以降はゼロ行進に終わった。逆転Vが一気に遠のく1敗。今日17日の第3戦、なんとか意地を見せてくれ!

 この完敗が持つ意味を、誰もが理解している。逆転Vへ望みをつなぐため、カープは直接対決3連勝のみを狙っていた。試合終了直後、指揮官は疲れをにじませた表情で言った。

 野村監督

 痛いですよ。ここからの負けは全部痛い。非常に残念な結果です。

 夢を見た。1回裏だ。1番木村が菅野の初球カーブを左前に転がし、2番菊池も初球にきっちり犠打を決めた。2死二塁で「巨人キラー」の4番ロサリオが二遊間を抜く先制打。前日15日の3連戦初戦をエース前田で取った勢いそのまま、流れるように得点した。

 先発野村はどうだ。丁寧に低めを突く投球。140キロ前後の直球には力があり、スライダー、チェンジアップにシュートも効いていた。5回を終えて無失点。勝てる。そんな雰囲気がマツダスタジアム全体に充満し始めた6回表だった。

 野村監督

 あそこは勝負をかけたというか、左打者が続くんで戸田で行った。

 野村が3番坂本に同点の左中間適時二塁打を浴びる。なおも1死二塁。首脳陣は迷わず左腕戸田を送り込んだ。4番阿部を一ゴロに仕留めながら、5番アンダーソンへの四球が痛かった。盗塁も絡んで2死二、三塁とされ、最後は6番村田に勝ち越しの中前2点打を許した。カープらしく攻めの継投を貫いたが、2番手以降の4投手が全員失点。打線は菅野に2回以降3安打と快投され、初回の1得点どまり。完敗だった。

 野村監督

 (菅野が良かったとか)そういうことを言っている時期じゃない。良かったから打てなかったではダメ。現実を受け止めて、結果を出していくためにやるしかない。

 残り14試合。直接対決は2試合しかない状況で5ゲーム差をつけられ、巨人のマジックは10まで減った。指揮官の言う「現実」はあまりに厳しいが、可能性がある限り、逆転Vにかすかな望みをつなぐしかない。シーズンが終わった後もCSがある。今日17日の第3ラウンド。若鯉軍団の意地を結集しなければならない。【佐井陽介】