<広島3-2DeNA>◇21日◇マツダスタジアム

 広島ブラッド・エルドレッド内野手(34)が、名実ともに値千金の1発だ。1-2での8回無死一塁。林から逆転35号2ラン。1時間遅れで始まった甲子園の阪神-中日の5回、2位を争う阪神ゴメスが先制打を放った直後。真っ赤に染まったマツダスタジアムで左中間スタンドに起死回生弾をたたき込んだ。

 「大事な場面で打てた。大きな勝利だよ」と誇らしげだ。3位阪神とのゲーム差を1・5に広げ、18年ぶりのシーズン70勝に到達した白星に胸を張った。本拠地初のCS開催が揺らぎかけた重苦しさを振り払った。チームを救い自身の初タイトルも確実とする一振りだ。

 ボール球に手を出す悪癖に苦しんだ。8月に2度も出場選手登録を抹消された。それでも「こういうときに大事なのは今までやってきたことを信じ、原点に戻ること。時間が解決してくれる」と、来た球をしっかり捉える打撃を貫いた。今月15日の1軍復帰後は6試合で2本塁打、5打点と、相手に脅威を与える打撃を取り戻している。

 横山がこの日、引退を表明。「昨年、僕たちがCSに進出できたのは横山さんの力だ。彼のようなストライクゾーンから逃げない投球を、これからも投手陣は続けていってほしい」とエルドレッドは、去りゆくチーム最年長投手をねぎらった。【堀まどか】