広島田中広輔内野手(25)が22日、最短1軍復帰を誓った。19日の練習中に頭部に打球を受け「前頭部挫創」で出場選手登録を抹消。けがは順調に回復しており、最短では29日ヤクルト戦(マツダスタジアム)の再登録が可能。田中は「10日間で戻れるように準備します」と、今日23日から広島・廿日市市内で練習を再開し、首脳陣の判断を待つ。

 田中は、鉄人だった。守備練習中にフリー打撃の打球を額に受け、血を流してマツダスタジアムのグラウンドに倒れ込んだのはつい3日前。この日、トレーナーへの経過報告で本拠地を訪れた田中は「風呂にも入って、普通に髪も洗えています。体調の変化もありません。野球人生で一番大きなケガでしたが、もう大丈夫。自分では10日間で戻れるように準備します」ときっぱり語った。14針の縫合跡は、ばんそうこうで隠してあった。

 19日に救急車で広島市内の病院に搬送される直前、ストレッチャーに付き添ったチーム関係者から「(出場選手登録は)抹消したから」と告げられた。「ええっ!?

 何でですか!?」と仰天したという。これくらいのことで休んではいられない、という意思表示だった。

 ただ頭部という負傷箇所を重く見た野村監督の判断で、すぐに出場選手登録を抹消された。それならば、と入院日の20日を含めた3日間は、疲労回復に努めた。今日23日から大野練習場で練習を再開し、26日の抜糸を経て1軍復帰指令に備える。

 新人で109試合に出場し、打率2割9分9厘、9本塁打、33打点。率も残し、長打力も兼ね備える田中は貴重な得点源になっている。リーグ一番乗りの貯金10をもたらした4月24日ヤクルト戦のプロ1号から、大台10号に手の届くところまで来た。球団では84年の小早川以来30年ぶりの新人2桁本塁打の快挙にも近づいている。右足を上げる打撃フォームに変え、6月22日日本ハム戦で3号を打った。そこから本塁打を含む安打数を押し上げた。「タイミングが合えば長打にできるという自信がつきました」と明かす。本拠地初のクライマックスシリーズ開催に向け、攻守で田中は欠かせない。【堀まどか】