<パCSファイナルステージ:ソフトバンク3-2日本ハム>◇第1戦◇15日◇ヤフオクドーム

 逆転サヨナラ勝ちをベンチで見届け、ソフトバンク大隣憲司投手(29)は心の底から喜んだ。栄えあるCS開幕投手。6回まで2安打無失点と力投した。7回、中田に同点ソロを浴び、大谷の二塁打から内野ゴロの間に勝ち越された。8回2死で5本目の安打を許し降板。「2点でしのげたので後につながった。とにかくチームが勝ってよかった」。大事な初戦を7回2/3、2失点と粘った。

 左腕は最終戦でリーグVを決めた「10・2」オリックス戦でも先発した。6回無失点と貢献。摂津、中田、武田にスタンリッジ。候補は数多くいる中で、中12日で「連投」を託された。「監督と1日でも長く野球をやりたい。1試合でも投げる姿を見せたい」と今季限りで辞任する秋山監督への思いを胸に宿したマウンドだった。

 4年前のこと。秋山監督の言葉が大隣を大きく成長させた。10年5月21日の広島戦で6回5失点。降板後、指揮官の隣に座らされ「授業」を受けた。相手先発の前田を手本に「なぜマエケンが抑えられるか分かるか」と緩急の大切さを説かれた。直球を生かすためにカーブを覚え、チェンジアップに磨きをかけた。「自分のスタイルを確立することを教わった。悩みながらいい意味でモデルチェンジできた」と感謝は尽きない。

 この日は右打者にも左打者にも低めにチェンジアップを投げ込んだ。昨年6月に国指定の難病、黄色靱帯(じんたい)骨化症の手術を受けた。1軍に戻ってきたのは7月。そこから結果を積み重ね、チームの信頼感を得た。加藤投手コーチも「たいしたもんだよ」と大舞台での強さをほめた。

 CSは今回が最後。次回は日本シリーズで秋山監督を日本一へ導く。そのために、チームに勢いをつける投球だった。【石橋隆雄】