<SMBC日本シリーズ:阪神6-2ソフトバンク>◇第1戦◇25日◇甲子園

 完敗スタートもやり返せる。日本シリーズが開幕し、ソフトバンクは初戦を落とした。日本シリーズ初先発の7番今宮健太内野手(23)が2安打に好捕と躍動すれば、シリーズ初出場の1番柳田悠岐(26)は適時打を含む2安打。若い力が、第2戦以降の反撃を予感させた。

 帰りのバスに向かうソフトバンクナインは落ち込んでいなかった。今宮は、横を通り過ぎる内川から「さすが甲子園の申し子」と明るい声をかけられた。そんな5年目の若武者が、頂上決戦の大舞台でハッスルプレーを連発だ。

 「甲子園球場でファンもすごかった。最初はド緊張だった。監督から自分をアピールして行けと言われていたので、そのイメージでいった。まずは初戦を難なくこなせて良かった」

 前回、11年の中日との日本シリーズは代走での1試合出場のみ。3年が経過し、初のスタメンで成長した姿を示した。

 3回はメッセンジャーの内角直球に詰まりながらも右前へチーム初安打。直後の守備では、先頭大和の中前に抜けそうなゴロに必死で食らいついた。グラブの先でかすめ取ると、体を回転させて好送球。「腕を伸ばしたら届いた」。日本ハムとのCSファイナルステージ第2戦で何でもないゴロを一塁へ悪送球。決勝の2点適時失策に自信を失いかけたが、昨季ゴールデングラブ賞初受賞の名手に自信が戻っていた。

 7回は左翼線二塁打で2点目のホームを踏んだ。5回の右飛、9回の二直も好内容だった。「バットは振れてます」。CSファイナルステージは22打数3安打と不振だったが、大分・明豊高時代に投手として154キロを計測するなど春夏3度経験した甲子園で躍動した。「僕はこの球場が好き。イメージがいいから守りもしやすい」。土のグラウンドに立てば、懐かしい思い出がパワーとなった。

 出塁した3回は1死二塁からスタンリッジのバントで果敢に三塁を狙ったが、アウトに。「自分の判断で行けると思ったけど止まっても良かった。2死二塁ならチャンスなので」。ベンチに戻ると秋山監督から状況判断を説かれた。そんな反省も明日への糧となる。

 初出場の柳田も負けていない。7回は2死三塁から右前適時打で記念すべき初打点をマークした。「最初の打席でミスショットした」と1回の中飛を悔やんだが、こちらもマルチ安打。持ち味のフルスイングで球場をどよめかせ、重圧はなさそうだ。秋山監督は「いいピッチャーだとなかなか点が取れないな」と振り返った。それでも若き2人のプレーが、次戦への希望を抱かせた。【大池和幸】