<SMBC日本シリーズ2014:阪神1-2ソフトバンク>◇第2戦◇26日◇甲子園

 負けても虎の日本一への希望は小さくなるどころか、膨らむばかりや。ソフトバンクとの「SMBC日本シリーズ2014」第2戦。好調な打線は1点止まりで、ポストシーズン初戦からの連勝は6でストップした。だが、その1点は西岡剛内野手(30)がこの日本シリーズ初安打でもたらしたもの。さあ、1勝1敗で乗り込む福岡で、29年ぶり日本一へのラストスパートや。

 ゲームセットの瞬間から甲子園に大粒の雨が落ちてきた。稲妻が光り、雷鳴がとどろく。急変した天候は嵐のお告げなのか。これが日本シリーズだ。阪神が瀬戸際のしのぎ合いに惜敗した。ナインがクラブハウスに歩を進めるなかで適時打を放った西岡が立ち止まって毅然(きぜん)と言う。

 「負けないで昨日まで来て、連勝が続いていた。CSも勢いだと言われてきて今日1つ(負けを)挟む。あさって(28日)から、力なのか勢いなのかが証明される。内容はいらない。勝つか、負けるかです」

 セ・リーグを席巻した大きなうねりは、いったん止まった。クライマックスシリーズの広島、巨人戦は無傷の5勝1分け。前日25日の日本シリーズ第1戦を制したが、この日はソフトバンクの若き右腕、武田に惑わされた。150キロ近い直球の球威に押され、セ・リーグでは珍しい独特のカーブのような球種に苦戦し、打ち損じた。ソフトバンクと1勝1敗だが、前夜先発野手で唯一無安打だった男が快音を放った。

 1点をめぐる攻防で、意地を見せた。6回2死後、代打狩野がチーム初安打で出塁。勝負の潮目が動いた瞬間を、西岡がとらえた。カウント2-1でその縦に曲がるカーブのような球種を見送る。見逃しストライクになったが球の軌道を確認した。ファウルで粘って7球目。全身をグッと沈めて内角低めに落ちていく変化球をとらえる。打球はやや詰まりながらも右翼線をはずみ、一塁走者の狩野が一気に生還。1点差に迫り、一矢報いた。それでも、表情を変えない。

 「うまく対応できたけど個人のことはチームが負けてしまったから…。短期決戦は打たなくても勝てばいい。活躍しても負ければ意味がないのがシリーズ」

 守備でも機敏な動きを見せた。3回無死一塁。武田のバントに猛チャージして二塁に送球。ワンバウンドになったが、得点圏への進塁を阻止した。まだ右肘は完全に回復していない。CSファイナルステージ巨人戦の試合前練習では、チューブトレーニングで患部を強化。最善策を施し、グラウンドでベストを尽くす。ロッテ時代の05、10年の2度、日本シリーズに出場して、日本一をなし遂げた。頂点までの道のりを知るからこそ、気を引き締める。今日27日に福岡入りし、28日からは敵地で3連戦。正真正銘の剣が峰が待っている。【酒井俊作】