<SMBC日本シリーズ2014:ソフトバンク5-2阪神>◇第4戦◇29日◇ヤフオクドーム

 阪神岩田稔投手(30)は、ゆっくりと帰りのバスへと向かった。1回に投前バントを犠打野選にするなどし、松田に2点適時打を浴び先制を許した。だが2回以降は粘投。走者を再三背負っても、決定打を許さなかった。7回6安打2失点。同点のままマウンドを譲りベンチで祈り続けた。最後は悲劇の被弾を目の当たりにした。

 「勝ちたかったです。初回ですね。自分のなかで探りながら行ってしまった。修正はできたけど、勝ちたかったです」

 同点の7回にはピンチで気合が違った。2死一、三塁で本多を追い込み、最後はスライダーを選択。空振り三振に、ほえた。「自分の投球をするだけだと思って低めへの制球を意識して、しっかり投げ込んだ」。右打者の外角に逃げるツーシーム、内角へのスライダーにフォークのコンビネーションで息を吹き返した。

 春先には中西投手コーチから「返球を受け取ったらすぐにプレートを踏め。歩き回ったら許さん」と言われた。考えるのをやめ、無心で腕を振ってきたことが結果につながった。白星こそつかなかったが今季を象徴するような128球。逆転日本一を信じて、岩田は祈り続ける。【池本泰尚】