巨人原辰徳監督(56)が1日、沢村拓一投手(26)にフォークボールの極意を授けた。川崎市のジャイアンツ球場で行われた秋季練習で、打者が嫌がるフォークの投法と軌道をアドバイス。ブルペンでの直接指導は30分間に及んだ。自身が対戦で苦しんだ達人として遠藤一彦氏、牛島和彦氏、佐々木主浩氏を挙げ「抜いて、落とす」ウイニングショットの習得を求めた。

 原監督が、沢村の意識改革に乗り出した。ブルペンで投球する姿を見るや近寄り、右手の指を開いて身ぶりを交え、フォーク講座を開講した。「真っすぐと同じ肘の高さ、腕の振りで、抜く。背中の後ろあたりから、ボールが遅れて抜けてくるイメージで。バッターからすれば、タイミングを外されることが一番やっかいなんだから」。何球か投げては中断し、チェックを重ねてから、捕手に意外な指示を出した。

 中腰になってもらい、高めに構えた。「高めのボールゾーンから、ストライクに落とす感じで。低めからワンバウンドに落としても、打者は振ってくれない。低く落とすならチェンジアップの方がコントロールできる」。沢村は徐々に、大きな落差の軌道を表現した。「そうだ!」の声が続き30分の指導が終わった。

 沢村のフォークは140キロ台で、直球との球速差が少なく、落差も小さい。ツーシームも持ち球だが高速で、一本調子による痛打が泣きどころだ。俗に言う「ボールを動かす」投手が主流となり、高低、緩急をワイドに使うタイプは少数派になった。抜け落ちるフォークを手に入れ操れば、沢村の幅は一気に広がる。

 現役時代、この決め球が大嫌いだった。苦戦した相手として「遠藤さん、牛島、佐々木」と達人を列挙した。「タイミングを外して、落とす。今ならソフトバンクの武田君も。彼はカーブだけど。最近、そういうピッチャーが少なくなった。沢村はあれだけの真っすぐを持っているんだから、なおさらね」と、原点回帰の重要性を説いた。「打者目線の話をいただいた」と感謝した沢村は「フォークは、しっかり低めに投げるということではない。打つ気がないのに、ワンバウンドさせても意味がない」と理解した。「来季までに、自分の技術としてモノにしたい」。原直伝のフォークで勝負する。【宮下敬至】