安芸に「大野再生工場」の誕生だ。阪神の秋季キャンプ臨時コーチに就任した大野豊氏(59)が3日、高知・芸西村のチーム宿舎入りした。今日4日からの指導を前に、猛虎の巣に足を踏み入れると「お客様」が一転、コーチの顔に変貌した。

 「榎田を始め、藤原、小嶋。本来は1軍でバリバリやらないといけないのに、加われないのはなぜなのか。感じたことをアドバイスしていきたい」

 野球解説者として、グラウンド外から阪神を見つめてきた。気になったのは結果を残せない左腕3人だった。榎田は今季24試合に登板して防御率は7・05。小嶋は毎度1軍で打ち込まれ、背番号15を付ける藤原は登板さえなかった。

 「話を聞きたいというのがあればいくらでも対応します。悩むんじゃなくて考えてほしい。悩むのは消極的。考えるのは前向きだから。一生懸命じゃなくて本気になってやらないと」

 あくまでもチームの方針を踏まえて指導するが、要望があれば阪神のコーチとして練習時間外でも、球場を離れても、とことん語り合う考えだ。

 「最近の子は投げないけれど、キャンプでしっかり投げないと。そこでダメになるピッチャーはダメ」

 広島一筋22年で通算148勝100敗138セーブ。2度の五輪で投手コーチも務めた。来季のV奪回へ、中村GMから託された左腕投手陣の底上げ。「周りの人にはカープ色のイメージがあるけれど、プロ野球のOBとしてね」。大野コーチは本気だ。【松本航】

 ◆大野豊(おおの・ゆたか)1955年(昭30)8月30日、島根県生まれ。出雲商から軟式の出雲信用組合を経て、76年ドラフト外で広島入団。リリーフで活躍し、84年に先発転向。88年に最優秀防御率と沢村賞。再びリリーフに戻った91年に最優秀救援投手。98年に42歳7カ月の史上最年長開幕投手。同年引退。99年と10~12年に広島コーチ。04年アテネ五輪、08年北京五輪では日本代表の投手コーチを務めた。通算707試合、148勝100敗138セーブ、防御率2・90。左投げ左打ち。