タイトル奪取で開拓者となる。巨人阿部慎之助捕手(35)が6日、三井ゴールデン・グラブ賞を2年連続4度目の受賞。来季から一塁手へコンバートされるため、扇の要としては最後の勲章となる可能性が高い。過去に捕手、一塁手の両方で同タイトルに輝いた選手はいない。一塁手としての受賞を意気込むと同時に、復活の証しとなる打撃タイトルにも意欲を示した。

 心機一転の慎之助に朗報が舞い込んだ。慣れ親しんだ捕手としてのゴールデングラブ賞も、一塁コンバートが決まった後では少し感慨が違った。「簡単にはいかないと思いますが『一塁手・阿部慎之助』に投票してもらえるように頑張っていきたいと思います」と粋なコメントをした。動きが大きく異なる捕手と一塁手で、ダブル受賞した選手はいない。パイオニア精神で新たな職場に挑戦する。

 コンバートの真の目的は理解している。バットの輝きを取り戻す。チームは川崎市のジャイアンツ球場での秋季キャンプ2日目。「もちろん、狙っていくしかないっしょ!」と相棒を抱え練習に向かった。首位打者、打点王を獲得した12年以来となる打撃タイトルを、最大のターゲットに定めている。1時間の一塁ノックをこなし、超高速の打撃マシン(通称・球道くん)を簡単に攻略してみせた。

 原辰徳監督(56)には元気いっぱいの阿部が頼もしく映った。「主将も、キャッチャーも、4番も任せてきてね。尊敬に値する」と背負ってきた重荷を思いやった。「一塁、うまいよ。体にキレが出て、どんどん良くなる。ゴールデングラブの前にベストナイン。3割、30本。できるよ。最低ライン」と期待した。

 超一流の捕手が、超一流の一塁手を目指す。その志に共鳴する。「野茂英雄が、悪者扱いされてまでメジャーを目指さなければ、今はない。ジャンボ尾崎さんもそう。あの方がP/Sクラブ(ピッチングウエッジとサンドウエッジの中間)を開発して、ゴルフ界が変わった。何事も、初めてやった人がすごいんだ」。信念岩をも通す。阿部を温かく見守り、支えるつもりだ。【宮下敬至】