阪神藤浪晋太郎投手(20)の契約更改交渉が、12月上旬にも行われる見込みだ。球団関係者によれば、2年連続2ケタ勝利を挙げた“将来のエース”が年俸1億円の大台に近づくことは確実だという。球団史上初、球界では松坂以来となる高卒3年目での大台突破なるか。注目の契約交渉は、1億円の攻防が焦点となりそうだ。(金額は推定)

 今オフ、チームで最も注目を集める交渉が来月上旬にも行われる見込みだ。リーグでは江夏氏以来となる高卒から2年連続での2ケタ勝利を挙げた藤浪の契約交渉だ。1年目は10勝6敗で、今季年俸は3倍増の4500万円。そして、今季は11勝8敗と勝ち星を上積みした。焦点はずばり、1億円に届くかどうかだ。

 「評価しています。査定に基づいてやっていますので」

 球団幹部は藤浪の来季年俸について、こう話した。大台への明言は避けたが、藤浪の今季の活躍を高く評価していることを明かした。すでにセ・リーグMVPを獲得した巨人菅野が1億1000万円で契約を更改。球界最速タイとなる3年目年俸での1億円突破を果たした。さらに今季、投手として11勝4敗、打者としても打率2割7分4厘、10本塁打を記録した日本ハム大谷にも1億円突破の可能性がある。数字的には2人に及ばないものの、2年連続でローテーションを守り、今季は先発の中心として投げ抜いたことはチーム内でも高く評価されている。

 「もしかしたら、大台(1億円)にはいかないかもしれないけど、それに近くはいくのではないか」

 球団関係者が話したように年俸4500万円からの倍増が期待され、そこからどれだけ1億円へ近づいていくかが注目される。

 松坂は1年目が16勝5敗で翌年の年俸7000万円に、2年目が14勝7敗で翌年の年俸1億円となった。残した数字も、時代も、球団も、査定方法も違う。ただ、球界を代表する新スターとして、藤浪がプロ野球最速記録に挑める権利を手にしていることは確か。どこまで大台に迫ることができるか。結果を残した者だけに許される緊迫感。夢のある契約交渉に注目が集まる。<プロ3年目に年俸1億円に到達した選手>

 ◆マイケル中村(日本ハム)07年=1億5600万円

 06年、当時パ・リーグのシーズン記録となる39セーブでタイトル獲得。

 ◆菅野智之(巨人)15年=1億1000万円

 プロ2年目の今季、防御率2・33でタイトルも獲得。MVPにも輝いた。

 ◆高橋由伸(巨人)00年=1億円

 99年の打率3割1分5厘、98打点はチーム最高。34本塁打は松井42本に次ぎ2位。球界初の3年目での1億円到達。

 ◆松坂大輔(西武)01年=1億円

 高卒1年目の99年から2年連続最多勝。00年8月7日オリックス戦での代打タイムリーも加算され、史上最年少21歳シーズンでの大台突破となった。