次代のエースへ、門戸開放宣言だ!

 阪神能見篤史投手(35)が同じ左腕で即戦力として期待されるドラフト1位横山雄哉投手(20=新日鉄住金鹿島)に伝家の宝刀を教授する。落ちる球の精度向上を目指す後輩へ、要望があればフォークを教えていく。投手陣の柱として、若手の底上げにも一役買う。

 横山が伝え聞けば、どれだけ胸が躍ることだろう。猛虎の柱は決して独りよがりではない。今年のドラフト1位はどんなピッチャーなのか…。能見はそんな期待を抱きながら画面に映る横山を見つめた。「カットボールか、いいなあ」。同じ左腕でも自分とはスタイルが違う。まずは一投手として、自らも参考にした。その上で、14学年年下の後輩に、そっと手を差し伸べた。

 「フォークも全然教えるよ。聞かれる分には答える。問題ない。自分で感じてやるのが一番いいんだけど。人によってどういう意識で投げているとかは違う」

 サラリーマンではない。腕1本でルーキーだろうが、大ベテランだろうが1軍のマウンドを奪い合うのがプロ野球の世界。ましてや同じ左腕。とらえ方によっては自分の最大の武器をライバルに教えることになる。ただ、能見にそんな独占欲はない。後輩が少しでも何かをつかんでくれるのなら、心おきなく懐を開ける。

 代名詞といえるフォークは今や球界に知れ渡る。先月11日に行われた阪神・巨人連合としての試合では、MLB選抜を手玉に取った。2回を投げ3奪三振。MLBファレル監督も「いいスプリット(フォーク)を持っている」と絶賛した。チーム内でも岩貞や岩崎を始め、能見のフォークを目標にする投手は多い。横山もちょうどフォークの精度を高めようとしていたところだった。以前から「能見さんの投球を見てみたい」と話しており、参加が検討される来年2月の沖縄・宜野座キャンプで早速「能見塾」が開講されるかもしれない。

 11月に行われた契約更改の席では「もういいですよ」とエースの称号を藤浪に譲った。今季9勝13敗からの巻き返しとともに、強く願うのは若手投手の台頭だ。双方の頑張りが重なり合えば、目指す頂も見えてくる。左腕のホットラインは対面前から完成している。