敵を知る前に己を知れ-。ソフトバンク工藤公康監督(51)が日本一ホークスを分析している。昨年の全公式戦のDVDを用意し、1試合ずつフル観戦。約20試合をチェックした。まずは自軍を丸裸にして、本格始動する春季キャンプに役立てる。10日は埼玉県伊奈町の埼玉県県民活動総合センターで講演。今後も研究を続けていく考えを明かした。

 工藤監督は画面を食い入るように見つめる日々を送っている。パ・リーグのライバルを分析しているのではない。研究対象は日本一ホークス。自軍の選手を丸裸にしようとしていた。「新たな発見もあるし、自分の中でこれならうまくいくのでは、というものもある」。監督就任後に、昨年の全公式戦のDVDを用意。年末年始に休暇で過ごした米国アリゾナにも持ち込んだ。「半分は仕事だったな」。ジムで体を動かした以外はほとんどチェックしていたという。

 試合の見方も徹底している。リモコン片手に早送りをしながら…、ではない。節目などの重要な試合を優先しながら、1試合をフル観戦。「投手なら立ち上がりが悪くても、回を追うごとにまとまってくることもある。いいときも悪い時もあるから」。日本一のチームを引き継ぎ、試合を見ることで全体のイメージをつかもうとしている。

 現役時代に捕手城島を一流の選手に育てたように、分析眼には定評がある。「20試合見ていて、(得点圏の)センター前ヒットで二塁まで進塁されていることが多かった」という。選手の特徴もインプットしている。「柳田は長打、ホームランもあるし、軽打の打ち方も覚えた。1番がいいのか、5番がいいのか。どこが適材適所かイメージしている」。気になる点を洗い出し、ていねいに投打を見ている。

 現時点で約20試合分を消化。1試合3時間としても、これだけで60時間だ。「全部見るのは難しいだろうな」。今後も時間が許す限り、チェックしていく。【田口真一郎】