アイデアがめじろ押しだ。巨人は15日、都内でスタッフ会議を行った。「新成」をスローガンに掲げた原辰徳監督(56)は、新たな挑戦を首脳陣にも要求。2月のキャンプ中に行う新メニューを練った。ドラフト2位の戸根千明投手(22=日大)、同3位の高木勇人投手(25=三菱重工名古屋)をキャンプ1軍に抜てきするかも討議。固定観念にとらわれずチームを磨く。

 原監督の所信表明演説は躍動感に満ちていた。会議では、スローガンに定めた「新成」について「新しいものを作り、大願を成就する」と説明。「やりたいことがあれば思い切ってやってほしい」と言い、語気を強めた。

 原監督

 プラスとマイナスでゼロ…という計算はしないでくれ。欠点を考えず「この教えに関しては、オレが日本一だ」という指導をしてくれ。

 日本一を奪い返すために「チームを1度、解体する」。丁寧に土台を組み上げていくキャンプになる。まずはコーチ陣に、宮大工のごとき職人意識を求めた。

 熱は、経験豊富な指導者たちに伝わった。キャンプでは新たな試みを次々と導入する。村田総合コーチの発案で昨秋に導入した、推定160キロの超高速マシン(通称・球道くん)をキャンプでも継続。そこに、名伯楽の内田2軍打撃コーチがスパイスを加えた。若手に金属バットで挑ませ、18・44メートルの距離も詰めていく計画を明かした。「巨人の選手は真っすぐに負けないんだ」と力んだ。

 ブルペンにも心憎い手を加える。通常のプレートに対して直角に、新たにプレートを埋める。捕手を一塁手と見立てたけん制の練習を効率よくこなす。渋くて、でも大切な工夫は尾花2軍投手総合コーチのアイデアで、目下ジャイアンツ球場でテスト中。2月までにキャンプ地も改修を行う。

 討論はハード面だけにとどまらなかった。ドラフト2位の戸根、3位の高木勇をキャンプ1軍メンバーに推す声が出た。沢村のブルペン転向、西村の先発転向に伴い、マシソン-山口-西村の最強中継ぎユニット「スコット鉄太朗」が解散した。左右のパワーピッチャーの力量を吟味し、新たな方程式を築きたい意向が垣間見えた。原監督本人が「目が離せない」と楽しみにしている。斬新なタッチで「新成」巨人を描いていく。【宮下敬至】