マー君に負けないエース道を歩む。楽天則本昂大投手(24)が26日、コボスタ宮城で練習を公開。捕手が座った状態でブルペンで18球投げ込むなど、キャンプへ順調な仕上がりを見せた。1月上旬から沖縄県内で約2週間ヤンキース田中らと合同自主トレを敢行。食事面や投げ方の助言を受けた。偉大な先輩の金言を胸に、3年連続開幕投手&2ケタ勝利を果たし、エースの座を継承する。

 則本がブルペンに入ると、居合わせた新人選手の視線がくぎ付けになった。ゆったりと左足を上げ、力をためる。豪快に右腕を振りぬくと、浮き上がるように伸びる球はミットにズドンと突き刺さった。風格たっぷりの18球に「去年以上に順調。(自主トレでは)田中さんにも受けてもらって、いいアドバイスを聞けた」と手応えを口にした。

 ヤンキース田中との「意見交換」で自信を深めた。2年連続で行った合同自主トレで「体の使い方など、意見交換しました。自分の方向性が合っていると結論付けできた」。メジャーで活躍する先輩と、共通点があった。左足の内転筋の使い方だ。投球時に突っ張るのではなく、沈み込むように柔らかく地面に着地する。上半身がグッと安定することで、リリースポイントが前に出る。すると球の回転軸も安定。美しいスピンがかかり、伸び上がるような直球が投げられる。田中も指導した星トレーナーは「キレイなフォーシームが投げられる。田中もそれで良くなった」と証言した。

 迎える3年目へ、気合はみなぎっている。昨年は星野前監督に「3年やってこそエース」と言われ続けた。ゲキに応えるように2年連続2ケタ勝利を記録。名実ともにエースとなるため、「3年目は勝負。最多勝はなかなかとれるものではないけど、やる以上は狙う」と最低限は2ケタ勝利と自らに重圧をかけた。

 会見の最後、則本はうれしそうに田中とのエピソードを明かした。「日米野球で投げ終わった直後くらいに連絡が来ました。『ナイスピッチ。抑え方教えてくれ』と」。冗談めかしていたが、自分のことを少しずつ認めてくれている。22日に田中が自主トレ公開した際も「則本は風格が出てきた」と太鼓判を押された。「1年で12人しかそのマウンドに立てない。目指してやっていきたい」と3年連続の開幕投手に照準を合わせた。勝負の3年目に、自らが次の楽天のエースだと証明する。【島根純】