松坂世代復権だ。ソフトバンク松坂大輔投手(34=メッツ)が、9年ぶりに復帰する日本球界を同世代で盛り上げる決意をみせた。29日、西戸崎合宿所で自主トレを公開。ランニングやキャッチボールで汗を流した。キャッチボールでは変化球も投げるなど、順調な調整ぶりを披露。同学年の名勝負再現へ、着々と歩を進めている。

 黄金世代と言われた松坂世代も、今季は35歳を迎える。日本球界で現役は松坂含めて27選手。巨人杉内や村田らが一線で活躍する筆頭。80年4月2日から81年4月1日生まれ世代の代名詞でもある松坂は、自信たっぷりに言い切った。

 「僕らの世代でまだまだ(球界を)盛り上げられると思うので、みんなで盛り上げたいですね」

 自身の復活がなによりの旗印となる。「ここ何年も先発として1年間やっていないので、ケガなくフルに働く。200イニングを超えられれば一番いいが、近づきたい。昔から先発完投という意識でやっている」。昨季チーム完投数はリーグワーストの7。05年に1人で15完投した右腕は、先発完投こそ松坂大輔だと言わんばかりだった。

 この日は、昨年12月5日の入団会見以来55日ぶりの姿とあって、テレビカメラ8台、70人の報道陣が追いかけた。寒空の下、30分かけてじっくりキャッチボール。約60メートルの遠投の後、バッテリー間の距離で強めに44球投げた。その半分は変化球。カットボール、スライダー、カーブを試した。「気にせず投げられています」。NPB統一球への対応もできている。

 ここまで沖縄、米国など場所を変えながら調整。立ち投げも行っている。「2月1日にブルペンで投げられるようにしてきたが、1日には入らない。オーバーペースにならないようにしたい」。軟らかい日本のマウンドの感覚を取り戻すため、シャドーピッチやキャッチボールなどでブルペンに入る機会を増やす。周囲のフィーバーぶりに惑わされることはない。

 杉内、村田だけでなく松坂世代にはDeNAには横浜高時代のチームメート後藤もいる。同じパ・リーグではライバルのオリックスにFA移籍した小谷野や西武に渡辺、森本らが待っている。「対戦するのが楽しみ」。新しいソフトバンクのユニホームで、やっぱり松坂が世代の頂点だと誰もが納得する活躍を見せる機会は、まもなく訪れる。【石橋隆雄】