確信犯だった。西武の新外国人郭俊麟投手(23=台湾体育運動大)は変化球だけで森を封じた。12日、シート打撃に登板し、森を3球三振に仕留めた。この日の最速143キロだった直球は、森に対しては1球も使わず、シンカー、スライダー、チェンジアップと続けた。「去年の秋、直球を大ファウルされた。直球を狙ってくると思った」と、負けず嫌いな性格をのぞかせた。

 精度の高い変化球だった。追い込んでから、最後のチェンジアップは空振りを狙ったものではなかった。「ストライクゾーンを狙った」と見逃し三振を狙うチェンジアップ。カウント球にも勝負球にもできる質の高さを感じさせた。郭が最も自信を持っている球種で、森も「ストライクに来てるのは分かりましたが、手が出なかった」と脱帽した。

 バックネット裏から視察したソフトバンクの広田スコアラーは「スピードガンよりも速く見えそう」と速球にも脅威を感じたようだ。「これからもっと精度を上げたい」と郭。昨年11月の21UW杯決勝でヤング侍を沈黙させた右腕が、いよいよ実力を発揮し始めた。【竹内智信】