オーナー、オレを見てください!!

 阪神伊藤隼太外野手(25)が12日のフリー打撃でルーキー石崎からド迫力の2連発弾をかっ飛ばした。前日11日の日本ハム戦(名護)で打線が沈黙。視察した坂井オーナーも落胆していた。一夜明けて、4打数無安打だった4番隼太が意地の快打。虎党のタレント石田純一からも「あったかい」エールで後押しされた。

 拝啓

 坂井オーナー、前日はご心配をおかけし申し訳ありません…。とばかりに、宜野座の青空に目の覚める弾道が描かれた。ドラフト2位石崎が初めてプロの打者と対戦。観衆の熱い視線が新人右腕に注がれるなかでの一幕だ。伊藤隼が初球を見逃し、2球目だ。力強い直球を完璧に振り抜くと右中間にスタンドイン。さらに次の球も豪快に右翼へ運び去ると、場内にどよめきが起こった。

 プロの洗礼を浴びせる意地の一撃だ。「結果は別として、自分の中でまだまだです。しっかりたたかないと、あそこまで飛ばない」と冷静に言い、「昨日は打撃にならなかった。間を取れていない。しっかりタメを作れていなかった。上体で追いかけていた。窮屈な打ち方になっていた」と反省が口を突く。11日の日本ハム戦は散々だった。

 空振り三振に始まり、最後はどん詰まりの投ゴロに倒れた。4打数無安打は外野のレギュラーを目指す上でアピール不足だった。若手主体のメンバーで5安打1得点にとどまり、視察した坂井オーナーは「この試合は何となしに期待から外れているけど…。もうちょっとペース上げてもらわないといかんわな」と辛口。チームも宜野座に戻り、特打が追加された。発奮が求められるなかで、隼太が猛打を見せつけた。

 2連発から2球挟み、左翼フェンス際に大飛球。その後も石崎の直球を強烈にはじき返し続けた。そんな姿を注目していたのが、テレビ大阪の収録で訪れていた虎党のタレント石田純一だ。今季のキーマンを問われ「若い選手で突き抜けてくる選手が出てきてほしい。例えば伊藤隼太選手は真面目すぎるのかな。いいかげんじゃない。『いい加減』でやってほしい。ヒントになる本をあげたいと思います。球団に送ろうかな…」と独特の言い回しで親身にアドバイスした。

 伊藤隼は「心の遊びですか。ありがたいですね」。今季の外野は福留、マートン、大和ら強敵がそろうが割り込む意気は消えない。今日13日、韓国・サムスン戦で仕切り直す。坂井オーナー、敬具はまだまだ早いです。【酒井俊作】

 ◆石田純一(いしだ・じゅんいち)本名・石田太郎。1954年(昭29)1月14日、東京都生まれ。早大中退後に渡米。77年に演劇集団「円」に入団。79年NHKドラマ「あめりか物語」でデビュー。88年「抱きしめたい!」をはじめ多くのトレンディードラマに出演。09年12月にプロゴルファー東尾理子と結婚。筋金入りの阪神ファンで85年リーグ優勝は生観戦。昨年7月22日巨人戦での延長12回の福留のサヨナラ弾に大興奮。「いやー。気持ちいい、夏の夜ですね」と語った。

 ◆罰特打VTR

 11日の日本ハム戦は5安打1得点のみで完敗。終了1時間後に和田監督は宜野座球場へと引き返し特打を敢行。伊藤隼、江越、陽川らに異例の追加特訓が課され、1時間を超える特打が終わったころには辺りが暗くなり始めていた。