<練習試合:中日4-9韓国・サムスン>◇14日◇沖縄・北谷

 意外な男が“開幕戦”の主役になった。今季から本格的に先発転向を目指す中日小熊凌祐投手(24)が今季初実戦の韓国・サムスン戦に3回から登板。2イニングをパーフェクトに抑えた。昨秋の契約更改の席では落合博満GM(61)から「カーブをうまくつかえ」と先発争いを勝ち抜くためのヒントを得ていた。

 最高気温21度。沖縄の太陽に照らされても小熊の頭は冷静だった。3回から登板し2回無安打無失点。打者6人。特徴的だったのはコーナーに収まるカーブだ。4回1死の場面ではカウント1-2から最遅の92キロカーブで左打者の5番朴漢伊を空振り三振。この日の最速は141キロ。球速差49キロはリーグ4連覇中の韓国王者にも効果抜群だった。

 「カーブとスライダーが(ストライクゾーンに)入れば、まっすぐも生きてくる。今日は良かった」

 今季から先発争いに本格参戦した。昨年11月の契約更改の際には落合GMから「自分で配球を考えろ。カーブをうまく使え」と助言をされた。無心で捕手のサインにうなずいていた過去を反省。投球の組立を頭で描くようになった。長いイニングを投げる体力を付けるためにオフには88キロあった体重を80キロと8キロの減量にも成功。今年で3年目となる吉見、大野との1月の合同自主トレでは体幹を徹底的に鍛えた。

 指揮官の期待は大きい。谷繁兼任監督は昨秋キャンプで社会人との練習試合に初めて小熊を先発起用。キャンプ中もブルペンで直接ボールを受けるなどチェックをしてきた。それだけに試合後は「いい方向にいっている」とご満悦だ。真っ黒に日焼けした小熊は「そのつもりでやってるんで、しっかりやりたい」と先発ローテ入りをにらむ。ライバルの伊藤、西川、鈴木がアピールできなかっただけに指揮官の印象度も違う。駒不足の課題を解消できるか。小熊に注意!

 と他球団を色めき立たせたい。【桝井聡】