いきなり152キロ!

 開幕投手を狙う阪神藤浪晋太郎投手(20)が今季初実戦でド迫力投球だ。15日、紅白戦の白組先発で初球、上本の内角高めにこの日最速の剛球を披露。初めて打者に対した力みもあり2回2安打1失点の内容も、直球の手ごたえを口にした。他球団スコアラーも「迫力がある」と警戒。能見、メッセンジャー、岩田と先発4本柱がそろい踏みした。

 その1球に、今キャンプ最多となった9500人の観衆がどよめいた。藤浪が投じた初球。上本の胸元をえぐるかのような直球は、152キロを計測した。今季、第1投。宜野座球場の電光掲示板に表示されると、「おお~!」と驚嘆する声がスタンドに響いた。

 「初実戦で多少は力みがありました。打者が立つと力むということを、久しぶりに打者を立たせてみて思った。早く打者に慣れないとと思いました」

 初回は力みが見えた。今オフ、広島前田、大瀬良らと自主トレをともにした。前田からはリリースの1点に集中する「脱力投法」を学びブルペンで習得に励んだが、いざ打者と対戦すると力が入った。上本への4球は頭付近へ。藤浪はすかさずマウンドで帽子を取り謝った。

 上本を結局、歩かせて1死三塁から3番今成に先制の左前適時打を許したが、2回は踏ん張った。無死三塁から150キロ超の直球を連投。梅野を外角いっぱいの151キロで見逃しの三振。西田も151キロで三飛、同期入団の北條を剛球で二ゴロに封じ込め、無失点で切り抜けた。「打者も直球でさし込められたのでよかった」と収穫を手にした。

 27球中150キロを超えたのは11球。ネット裏で視察した巨人、中日、DeNA、ヤクルトの4球団5人のスコアラーは「これが初実戦でしょ?

 球に力があるね」「言うことないね。迫力がある」と声を上げた。直球の威力はさらに増していた。

 能見、メッセンジャー、岩田と開幕投手候補がそろった。4人とも初実戦と、マウンドを確かめながらの投球だった。大役を熱望する3年目右腕は「直球も指にかかっていましたし、しっかりカットボールも投げられた。丁寧に低めに投げられるようにしていきたいです」。荒れた球はここから修正するだけ。開幕投手争いのレースは始まったばかりだ。【宮崎えり子】