<練習試合:楽天0-6韓国サムスン>◇15日◇沖縄・金武町

 失敗が成功のカギになる。大久保博元監督(48)が就任後、初の対外試合だったが大敗した。「超機動力野球」を掲げたが、4度の盗塁すべてに失敗し、逆に3盗塁を決められるなど、目標にする野球を相手に許した。しかし指揮官は積極的にスタートを切る姿勢を評価。数万回失敗したという大発明家エジソンになぞらえて、失敗が勉強になると、完敗を前向きにとらえた。

 就任後、初の対外試合に大敗しても大久保監督は明るかった。「エジソンだって3万回失敗したって聞いたことがある。1、2回の盗塁失敗は責められないでしょ!

 俺は手応えを感じたよ!」。韓国リーグ4連覇中の強豪に手も足も出なかった。打線は散発の5安打で無得点。中でも「超機動力野球」と銘打って意識付けしている盗塁は4度試みて、全て失敗した。

 目の前で理想の姿を見せつけられた。3ランから0-3となった後の7回2死走者なし。サムスンの2番打者が中前打で出塁すると、あっさり盗塁を決めて2死二塁。その後、後続が左前打を放ち、ダメ押しの4点目を奪われた。「カカーンと点を取られて試合が終わった。我々のやりたい野球をやられた」と振り返ったが、そこに悲壮感はなかった。

 かの発明王トーマス・エジソンになぞらえた。エジソンは電球を発明するために数万回失敗をした。その際に、こんな名言を残したという。「失敗したわけではない。うまくいかない方法を1万通り発見しただけだ」と。大久保監督も同感だった。全くデータのない対戦相手に、勇気を持ってスタートを切る。結果は4盗塁死だったが、「失敗して勉強。成功して自信になる。まずはスタートを切ったら成功なんだから。機動力を使えず、逆に6-0で勝っていたら、俺の中では失敗だよ」と言った。成功するためには失敗を恐れてはいないと断言した。

 選手も指揮官の姿勢に感化された。盗塁死の岡島が「どんどんスタートを切って、タイミングをつかんでいきたい」と言えば、同じく失敗した榎本も「塁に出たら全部行く。成功することが次の課題」と前を向いた。経験こそが、成功へのカギ。大久保監督は「新しいイノベーション野球をやりたい。ブレずにやっていくよ」と言い切った。失敗は成功の母。「超機動力野球」発明のため、試行錯誤を続けていく。【島根純】