<東京6大学野球:明大5-3法大>◇第7週最終日◇28日◇神宮

 明大が、延長12回2死二塁から、高山俊外野手(2年=日大三)の決勝三塁打で競り勝ち、同校38年ぶりの春秋連覇を決めた。序盤の3点ビハインドを日本ハム3位岡大海内野手(4年=倉敷商)の適時打などで追い付き、5-3で法大に連勝。高山は通算62安打として、127安打のリーグ記録を持つ明大OB高田繁氏(現DeNA・GM)の2年時を上回った。2季連続優勝は33年ぶりで、明治神宮大会(11月16日開幕)出場を決めた。

 高山が、俊足を飛ばして走った。引き分け目前の延長12回。2死走者なしから得点圏に走者を進めると、高めに浮いたスライダーを見逃さない。「何を打ったか分かりません。自分の打球が飛んだのは覚えているんですけど」と興奮した。右中間を深々と破る決勝適時三塁打で激走。4時間10分の熱戦を制し、歓喜の輪の中心に立った。

 1年春からレギュラーをつかみ、積み上げた安打は62本。4年間の折り返し地点で、高田氏を2本上回っている。「自分から意識し過ぎると、打撃を崩してしまう。1本1本の積み重ねです」と言う。この日は直前までの5打席は無安打。名誉挽回へ、集中力をギリギリまで高めた結果だった。

 明大の春秋連覇は75年以来38年ぶり。3点を追う5回、代打柴田悠介捕手(4年=中京大中京)が、リーグ戦初本塁打となる2ランを放った。ブルペン捕手としてチームを支え、卒業後は静岡ガスの軟式野球部に進む。8回に同点打を放った岡は、「みんがつないでくれた」と言って、泣いた。別れの秋。4年生の思いを背負って打った。

 長く届かなかった連覇に、善波達也監督(51)は「夢のようです」とかみしめた。50年ぶりに16試合かけて優勝した春に続き、1年間で、1度も土日で試合が終わったことはない。試合後は必ずグラウンドに戻って練習。スタンドで応援する4年生がユニホームに着替え、打撃投手を買って出た。高山は「上級生のおかげで成長できている」と言う。今秋は第4週の立大戦で勝ち点を落とした。泥臭く粘り、つかんだ優勝だ。

 善波監督が試合前夜に必ず食べる験担ぎのトン平焼きも雨天中止を含めて17度。年間35度食べ続けた。岡が抜け、4年生が抜けても高山に加え、3番手で10三振を奪った上原健太投手(2年=広陵)ら下級生に好選手がそろう。強さが続く、好循環。明大黄金時代到来の予感たっぷりの戦いで、秋の頂点に立った。【前田祐輔】