<北東北大学野球:富士大10-0青森中央学院大>◇第1週第2日◇27日◇岩手・花巻

 富士大の146キロ右腕小野泰己(たいき、2年=折尾愛真)がベールを脱いだ。リーグ初登板初先発で6回1安打無失点8奪三振と好投。チームも先発全員の15安打と打線がつながり、7回コールドで青森中央学院大を下した。

 緊張はマウンドに立つと解けていた。「よいしょ!」の声とともに投げた富士大・小野の1球目はこの日最速の142キロ。その球で遊飛に打ち取ると、次の打者は空振り三振。豊田圭史新監督(30)の「初回から飛ばしていけ」との指示通り、腕を大きく振り140キロ台を連発した。そのまま6回まで毎回の8三振無失点と、堂々のデビューを果たした小野は「結果が良くほっとした」。豊田監督も「早く継投するつもりだったが、いい意味で予想外でした」とたたえた。

 高校から最速146キロ右腕として注目を集めたが、3年夏の福岡県大会直前に右膝半月板を損傷。初戦で痛みをこらえ1イニング投げただけで最後の夏を終えた。手術を経て、大学1年目はBチームで実戦感覚を取り戻してきた。プロ入りへの思いは「常に持ってます」という。この日ネット裏で視察した巨人榑松スカウトは「非常に楽しみ」。日本ハム白井スカウトも「これからもっと良くなる」と高評価だった。高校時代かなわなかった夢のため、この1勝をスタートにする。【高場泉穂】