2010年9月1日
小関順二のドラフト日記(8・27~29)
最速149キロの速球を披露したホンダ・佐藤達也投手
◇8月27日(金)
東京ドームへ。見たい選手がたくさんいる東京ガス-NTT西日本戦から都市対抗は始まった。東京ガス勢では、左腕・榎田大樹(左左・179-81)、快速右腕・美馬学(右右・168-68)がさすがというピッチングを展開し、予選で魅了された岩佐海斗(右右・187-74)もこれでは出る幕がないという感じ。NTT西日本勢では大阪ガスから補強された岩見優輝(左左・177-80)の“バタフライ投法”(万歳投げと言ったほうが感じが出ると思う)が帆足和幸(西武)を彷彿とさせ、左腕好きのスカウトの心をくすぐった模様。3番手の吉元一彦(右右・181-72)は同年齢のチームメート、安部建輝(右右・179-80)の陰に隠れた存在だが、球持ちのいい直・曲球は打者手元でのひと伸び、あるいは変化が冴えて、登板がなかった安部の存在をしばし忘れた。
打者は期待した岡澤一生(東京ガス・二塁手・右左・173-68)、森志朗(パナソニックからNTT西日本に補強・二塁手・右右・175-73)がピリッとせず、永松孝太(NTT西日本・右左・170-66)の2安打がわずかに目を引いた程度だった。
◇8月28日(土)
東京ドームへ。第1試合の住友金属鹿島-九州三菱自動車戦は、選手云々ではなく、投手交代に違和感を覚えた。8回1死まで好投していた石田祐介(住友金属鹿島・右右・180-81)を走者なしの場面で交代させるのだが、石田に疲れはまったく見えず、これから迎える九州三菱自動車の1~3番までが左打者という理由だけで左腕に代えたように見受けられた。三塁手のエラー、左前打、犠飛で1-1の同点にされ、3番手の平井英一(富士重工から補強)をマウンドに送るのだが、この慌てようはちょっと格好悪かった。
第3試合ではホンダの2年目、佐藤達也(右右・178-73)の快速球に目を奪われた。これは間違いなくドラフト中位候補と言っていい。この日のMAX149キロが鋭い腕の振りからビュンビュン捕手のミットめがけて投げ込まれ、これは打てないなと思わされた(1回2/3を無安打)。
この試合ではこんなことも思った。打者走者の一塁到達「4・29秒未満、二塁到達8・29秒未満、三塁到達12・29秒未満」をタイムクリア、さらに「一塁到達5秒以上、二塁到達9秒以上、三塁到達13秒以上」をアンチと分けて表現しているが、JR四国がタイムクリア「3人・4回」なのに対し、ホンダはタイムクリア「3人・5回、アンチ4人・6回」と遅速が著しく混同し、この試合に対するモチベーションの低さを想像させた。8回まで5-5の接戦になったのはこんなところに原因があったのかなと想像している。
この試合前、東京ドーム内の売店でカツ丼を食べる。800円は少し高いが、味はいい。去年も頻繁に食べたことを思い出した。
◇8月29日(日)
東京ドームへ。第1試合は伯和ビクトリーズの投打2人にしびれた。投の主役はもちろん完封勝利の七条祐樹(右右・180-80)。昨年まで話題になることは多くても、晴れの舞台には顔を見せなかった隠れた大物。こういう面白い投手だったのかと納得させられた。
打で印象深かったのは、チーム3ホームランのうちの1本を放った7番・二塁手の池永陽平(右左・171-68)。山椒は小粒でもぴりりと辛い脇谷亮太(巨人)タイプだ。2ランホームラン以外でも第3打席では3球続けて内角低めに140キロ程度のストレートを集められ、これを右前にタイムリー。「3つ続けられたら、そら打つよ」と言わんばかりの風格を一塁塁上で漂わせた。
第3試合ではJFE東日本の須田幸太(右右・175-72)がよかった。MAX145キロのストレートを内角にねじ込み、これに空中でブレーキがかかったのちに横滑りするカーブ、スライダーを交えて新日鉄広畑打線を翻弄、4安打1失点に抑えた。打では以前から好きだった津留侑士(JFE東日本・遊撃手・右左・173-67)がこの日も走攻守に冴えを見せ、よさを再確認できた。第4打席で三塁打を放ったときの三塁到達は11・62秒。プロに食指を伸ばしてほしい1人である。
※次回は9月7日掲載予定
- 小関順二(こせき・じゅんじ)
- 1952年生まれ、神奈川県出身。日大芸術学部卒。会社勤めのかたわら「ドラフト会議倶楽部」を主宰。本番のドラフト会議直前に「模擬ドラフト会議」を開催し注目される。その後スポーツライターに転身。アマチュア野球を中心に年間200試合以上を生観戦。右手にペン、左手にストップウォッチを持って選手の動きに目を光らせる。著書に「プロ野球問題だらけの12球団」ほか多数。家族は夫人と1女。
- 矢島彩(やじま・あや)
- 1984年生まれ、神奈川県出身。5歳くらいから野球に夢中になり、高校時代にアマチュア野球中心に本格観戦を開始。北海道から沖縄まで飛び回り、年間150試合を観る。大学卒業後フリーライターに。雑誌「アマチュア野球」(日刊スポーツ出版社)などに執筆中。好きな食べ物は広島風お好み焼きと焼き鳥(ただしお酒は飲めません)。趣味は水泳。
- 福田豊(ふくだ・ゆたか)
- 1962年生まれ、静岡県出身。85年日刊スポーツ新聞社入社。野球記者を11年。巨人、西武、日本ハム、アマ野球、連盟などを担当。野球デスクを7年勤めた後、2年間の北海道日刊スポーツ出向などを経て、現在は毎朝6時半出社で「ニッカンスポーツ・コム」の編集を担当。取材で世話になった伝説のスカウト、木庭教(きにわ・さとし)さん(故人)を野球の師と仰ぐ。「ふくださん」の名前でツイート中。
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