2010年9月23日
ドラフト注目選手・武藤祐太(ホンダ)
都市対抗で力投するホンダ・武藤祐太投手
178センチ、85キロ。けっして大柄ではないが、誰もがその発達した下半身に目を奪われる。どっしりとした腰まわり、たくましい太もも、そしてはちきれんばかりのふくらはぎ。ユニホーム越しにもはっきりわかる。強豪のホンダで、無名の高卒3年目ながらエースを張っているのも、この鍛え抜かれた下半身があるからだろう。
今夏の都市対抗。1回戦のJR四国戦に先発。初戦の緊張からか、8回途中9安打5失点で降板した。「イマイチ」という印象だったが、続く2回戦、東京ガス戦のピッチングを見て、評価が大きく変わった。
直球は142、3キロ止まりながら、球威十分で低めにビシビシ決まる。これに120キロ台のスライダーをまじえ、最後はフォークボール。この決め球が素晴らしい。投球フォームもクセがなく、これだけのフォークボールがあれば抑えで使っても面白い。この試合は社会人NO・左腕、ドラフト1位候補の東京ガス・榎田と投げ合ったが少しもひけを取らなかった。結局8回途中4失点で敗れてしまったが、被安打5、7奪三振の内容は十分合格点を与えられる。
また、この試合では9回に同じホンダの諏訪部貴大投手(22)も登板。昨年ドラフトで中日から6位指名も拒否し残留した投手である。178センチ、83キロ、右投げで武藤と同じようなタイプだが、この試合を見る限りでは武藤の方が上と見た。
大学生ならまだ3年生。今後の成長も大いに期待できるだけに、上位で指名する球団があってもおかしくはない。1歳年上となる早大・斎藤、福井らの大学生投手と比べても遜色ない実力がある。社会人出身選手の意地を見せてもらいたいものだ。【福田豊】
◆武藤祐太(むとう・ゆうた)1989年(平元)6月14日生まれ、埼玉県出身。飯能南高時代は1年からエース。しかし3年夏は5回戦で敗退し甲子園には出場できず。ホンダでは2年目に頭角を現し昨年秋の日本選手権で全国デビュー。完投勝利を挙げるなど先発投手として一本立ちし優秀選手に輝いた。最速は148キロ。178センチ、85キロ、右投げ右打ち。
- 小関順二(こせき・じゅんじ)
- 1952年生まれ、神奈川県出身。日大芸術学部卒。会社勤めのかたわら「ドラフト会議倶楽部」を主宰。本番のドラフト会議直前に「模擬ドラフト会議」を開催し注目される。その後スポーツライターに転身。アマチュア野球を中心に年間200試合以上を生観戦。右手にペン、左手にストップウォッチを持って選手の動きに目を光らせる。著書に「プロ野球問題だらけの12球団」ほか多数。家族は夫人と1女。
- 矢島彩(やじま・あや)
- 1984年生まれ、神奈川県出身。5歳くらいから野球に夢中になり、高校時代にアマチュア野球中心に本格観戦を開始。北海道から沖縄まで飛び回り、年間150試合を観る。大学卒業後フリーライターに。雑誌「アマチュア野球」(日刊スポーツ出版社)などに執筆中。好きな食べ物は広島風お好み焼きと焼き鳥(ただしお酒は飲めません)。趣味は水泳。
- 福田豊(ふくだ・ゆたか)
- 1962年生まれ、静岡県出身。85年日刊スポーツ新聞社入社。野球記者を11年。巨人、西武、日本ハム、アマ野球、連盟などを担当。野球デスクを7年勤めた後、2年間の北海道日刊スポーツ出向などを経て、現在は毎朝6時半出社で「ニッカンスポーツ・コム」の編集を担当。取材で世話になった伝説のスカウト、木庭教(きにわ・さとし)さん(故人)を野球の師と仰ぐ。「ふくださん」の名前でツイート中。
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