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2010年10月11日

中大・山崎、完全復活の笑顔が見たい

右ひじ痛からの完全復活が待たれる中大・山崎投手

 中大の149キロ右腕・山崎雄飛投手(4年=芝浦工大高)。9月5日の青学大戦で、4月14日以来のカムバックを果たした。

 ドラフト候補と呼ぶには程遠い内容だったが、故障も癒え一段ずつ復活の階段を上ろうしている。

 「めちゃくちゃ緊張しました。展開が展開(延長12回、2-2の場面から)だったんで。監督には“無理しなくていいよ。点取られてもいいから”と言われたんですけど、マウンドに立ったら取られたくないに決まってるじゃないですか。しかもまた、同じことをやるんじゃないかという怖さもありました」。

 春に右ひじ靭帯を損傷したのも開幕カードだった。フォークボールを投げたときにブチっという音が聞こえた。あれから、この青学戦まで、オープン戦を含め実戦登板は一度もない。まさにぶっつけ本番だったのだ。

 得意のスライダーは1球も投げていない。事前に鮫島哲新捕手(4年=鹿児島工)に「カーブとフォークしか投げないから」と伝えた。鮫島は「“うん、OK”としか言えなかった」。恐る恐る投げる姿に、かつてのダイナミックさはない。ストレートは常時130キロ前半。3連続四球でいきなり1死満塁のピンチを作ってしまう。

 「コースだけは本当に間違わないように、とにかく高めに浮かないように、コーナーにきっちり投げることだけを考えていました」。

 必死に低めを突いて後続を打ち取った。最速は135キロ止まり。山崎の目にもスピードガンの数字が見えていたそうだ。

 「うわっ…しょぼいって思いました。でも、しょうがないです。あせって(けがを)再発させたくない。徐々に調子を上げていきたいです」。

 ストレートは指にボールがかかるときに靭帯に一番響く。そのため高橋善正監督も「まだ怖いだけ。呪縛がとければ大丈夫」と、じっと我慢しているようだった。

 不安だらけの登板になったが、少しだけ手ごたえもあったという。

 「変化球に関しては(一番良かった)昨年秋の感覚を忘れていなかった。ちょっとボールが遅くなっても、前よりも変化球やコントロールが良くなったと言われたいですね」。

 打者14人に対し、外野に飛ばされたのは2人だけ。低めを突いていけたからだ。試合5日後の立大との練習試合では、青学大戦よりもずいぶんキレが戻っていた。先々週の国士大戦はブルペンで試合を見守ったが、今季2度目の登板も近いかもしれない。

 「山崎はストライクが入りやすいのでリードしやすい。それにピッチングの頭もいい。たまにサインに首を振るんですけど、“そうか、なるほどな”と思います。だからそんなに心配はしていません」(鮫島)。

 飾り気のない、明るい性格。山崎本人の自己分析は「超ポジティブ。いつも良いことを妄想しているんです。あはは、気持ち悪いですよね」と白い歯を見せる。この笑顔を、神宮でも見たい。【矢島彩】

ドラフト2010
小関順二(こせき・じゅんじ)
 1952年生まれ、神奈川県出身。日大芸術学部卒。会社勤めのかたわら「ドラフト会議倶楽部」を主宰。本番のドラフト会議直前に「模擬ドラフト会議」を開催し注目される。その後スポーツライターに転身。アマチュア野球を中心に年間200試合以上を生観戦。右手にペン、左手にストップウォッチを持って選手の動きに目を光らせる。著書に「プロ野球問題だらけの12球団」ほか多数。家族は夫人と1女。
矢島彩(やじま・あや)
 1984年生まれ、神奈川県出身。5歳くらいから野球に夢中になり、高校時代にアマチュア野球中心に本格観戦を開始。北海道から沖縄まで飛び回り、年間150試合を観る。大学卒業後フリーライターに。雑誌「アマチュア野球」(日刊スポーツ出版社)などに執筆中。好きな食べ物は広島風お好み焼きと焼き鳥(ただしお酒は飲めません)。趣味は水泳。
福田豊(ふくだ・ゆたか)
 1962年生まれ、静岡県出身。85年日刊スポーツ新聞社入社。野球記者を11年。巨人、西武、日本ハム、アマ野球、連盟などを担当。野球デスクを7年勤めた後、2年間の北海道日刊スポーツ出向などを経て、現在は毎朝6時半出社で「ニッカンスポーツ・コム」の編集を担当。取材で世話になった伝説のスカウト、木庭教(きにわ・さとし)さん(故人)を野球の師と仰ぐ。「ふくださん」の名前でツイート中。

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