<高校野球千葉大会>◇7月17日◇3回戦

 千葉の「唐川2世」が、今夏初登板で奪三振ショーを演じた。成田・中川諒投手(3年)はOBであるロッテ唐川侑己投手(21)そっくりのフォームでシード校・千葉黎明に1-0で競り勝った。直球を武器に14奪三振の完封勝ち。昨夏の5回戦で逆転負けした相手にリベンジを果たした。

 中川の気迫が、袖ケ浦球場内を、相手千葉黎明を圧倒した。1回2死、3番山田から見逃し三振を奪って三振ショーが始まった。2回、3者連続空振り三振を奪うとマウンドでほえた。決め球はすべて直球。「打たせてとる投球」が信条の右腕が、直球で押した。毎回の14三振。うち13個が空振りだった。「流れを作って押してやろうと思っていた。最高です」と涙を浮かべ、喜びをかみしめた。

 ゆっくりと左足を上げて始動し、鋭く右腕を振り切る。同校OBのロッテ唐川にそっくりのフォーム。最速141キロの直球を投げ込む「唐川2世」は、先輩に近づこうと毎晩、シャドーピッチングを繰り返してきた。唐川の投球映像を見ながら、窓に映る自分と比べた。中1の時に見た甲子園で「かっこいい」と目を奪われて以来、欠かさず続けてきた。

 唐川も指導した山形一利トレーナー(34)は言う。「肩関節の柔らかいところなんかは似ている。下半身がちょっと硬かったところも似てます」。同トレーナーの下、中川も唐川が行っていた下半身トレーニングで柔軟性を養った。尾島治信監督(41)が「今日は、中川と心中するつもりだった」と絶大な信頼を寄せる投手に成長した。

 千葉黎明は昨夏の5回戦で9回に7点を失い、13-14で負けた因縁の相手だった。9回1死二、三塁のピンチでは「昨年のことが頭をよぎった」というが、後続は断ち切った。「この日のためにやってきた。絶対に甲子園に出たいです」。観客席から見つめた甲子園のマウンドに立つため、中川は右腕を振り続ける。【今井恵太】