仰天のコンバートプランだ。阪神がドラフト3位で指名した大阪桐蔭・西田直斗内野手(18)に、一塁から遊撃への転向を通達していたことが14日、分かった。長打力はもちろん、俊敏な守備にも注目。入団前では異例のコンバート指令で、鳥谷の後継者育成に本腰を入れた。

 阪神が仰天のコンバートプランを練っていた。ドラフト3位指名した大阪桐蔭・西田は高校時代に一塁を守ったが、同じポジションで育てる考えはなかった。遊撃手構想を温め、本人にすでに通達済み。球団関係者は言う。「グラブを用意して、練習しておくように伝えた」。投手や捕手から内外野への転向は珍しくないが、一塁→遊撃の位置変更は極めて異例だ。

 鳥谷の後継者育成というテーマが背景にはある。今季で国内FA権を取得し、球団側は残留に力を注いでいる。来年には海外FA権も取得予定。チームに残る道を選んだとしても、数年先にはベテランの域に達する。野手で最も重要なポジションともいえるだけに、空白期間を作るわけにはいかない。そこで高校生の西田に白羽の矢が立った。

 西田は中学時代に遊撃を経験している。大阪桐蔭では一塁に回ったが、全国屈指の強豪校で他の選手との兼ね合いがあったため。守備は下手ではない。それどころか、球団側は俊敏でセンスのある動きに着目。遊撃転向の指示に、迷いはなかった。好都合にも、同校OBにツインズ西岡がいる。オフに母校でトレーニングすることもあり、世界クラスの遊撃手という最高の教材を間近で見られる。西田本人も10月31日の指名あいさつで「聞いてみたいことはいっぱいあります」と弟子入り志願。難しいポジションではあるが、抜群の環境で準備を整えられる。

 今回のドラフト戦略は慶大・伊藤の一本釣りが最重要だったが、2位以下の候補として、東芝・安達(オリックス1位)、東洋大・鈴木(ロッテ3位)らの逸材遊撃手をリストアップしていた。西田もそれに匹敵する素材と評価している。高校通算26本塁打で柔らかい打撃が魅力的。同じ右投げ左打ちの大先輩である鳥谷を目標に、タテジマに袖を通すことになる。