イチローから“イチ流”を盗む!

 オリックスのドラフト5位、北照高・吉田雄人外野手(18)が1日、小樽市内の同校で指名あいさつを受けた。長村裕之編成部長(54)らからの説明で、あこがれのヤンキース・イチロー外野手(40)に会えるかもしれないと聞き、大興奮。例年1月に神戸で行われる新人合同自主トレで対面する可能性もあり、プロ22年目の大先輩の姿から学び、プロ人生をスタートさせることを熱望した。

 指名あいさつの席上で吉田の思考回路がストップした。今後の予定などの説明を受けている時だった。長村編成部長らから「もしかしたら会えるかも」と伝えられ、年明けに憧れのイチローと対面する可能性があることを知った。「MAXでテンションが上がってしまった」。その後の説明に集中できないほど、興奮した。

 イチローの存在そのものはもちろん、トレーニング方法など興味は尽きない。ほっともっと神戸などを使用する1月のオリックス新人合同自主トレは例年、イチローの自主トレと時期、場所が重なり、顔合わせする機会がある。実際に今年プロ入りした新人も、遭遇してそろってあいさつした。「まだまだ一緒に(練習を)やれるレベルじゃない。横からしっかり見ていろんなことを吸収したい」と目を輝かせた。

 13年ぶりの「再会」だ。00年夏、函館オーシャンで行われたオリックス-ロッテ戦を家族で観戦。右翼席で、メジャー入りする前のイチローのプレーを間近で見た。初めて見たプロ野球選手として、大切な思い出の1つだ。「聞きたいことばかりで何から聞いていいか分からない」と対面を想像するだけで照れた。

 プロへの階段は着々と上がっている。指名後、周囲の反応も変わった。既にサインを求められることもある。慣れない手つきで書いてみたところ、「オリックスバッファローズ」と間違って「ッ」を書いてしまう、うっかりミスもあったが、丁寧に応じている。「応援してくれる人には丁寧に対応したい」と感謝の気持ちを忘れない。

 「北のイチロー」となる素材はある。長村編成部長は「走攻守3拍子そろっている。(イチローに)似通ったところがある。チームの柱になってくれたら」と期待を寄せた。吉田は「これからが勝負。浮かれている時間はない。1日1日、気を引き締めていきたい」とオフもトレーニングを怠るつもりはない。既にプロの自覚が芽生えていた。【保坂果那】

 ◆イチローの自主トレ

 米メジャー移籍後は例年、年明けに古巣・オリックスの本拠のほっともっと神戸などで自主トレを行っている。メニューは遠投、フリー打撃、球場周辺の坂などを使ったダッシュなど。オリックスや関係する選手と合同で行うこともあり、T-岡田やブルージェイズ川崎、マネジメント会社が同じ縁で日本ハム斎藤らと行っている。