中日井端弘和内野手(34)が7日、名古屋市内の球団事務所で2度目の契約交渉を行い、5000万円アップの推定年俸3億円で更改した。球団日本人内野手としては92年の落合(現中日監督)に並ぶ最高年俸となった。名実ともにチームの顔になった井端は(1)巨人を倒してのV奪回、(2)打率3割3分以上での首位打者獲得、(3)出塁率4割以上という3つの“マニフェスト”を掲げた。

 井端の願いがかなった。交渉ではまったく金額の話をせず、希望額が書かれた紙にサインするだけだった。「金額についての交渉はほとんどしていません」。昨年12月18日に行われた第1回交渉後では球団側が異例の“逆保留”する事態となったが、この時に両者の着地点は決まっていた。

 球団の日本人内野手としては92年の落合(現監督)に並ぶ最高年俸となった。日本人野手としても落合、福留に続いて3人目の3億円到達という快挙だ。「正直、目標にしていた数字だった。僕がホームラン打者なら次のところ(4億円)も目指すんだろうけど(アベレージ打者では)限界の数字だと思う」。プロ11年間で48本塁打。堅実な守備と、しぶとい打撃の職人芸が評価されて、球団史に名を残すホームラン打者たちと肩を並べた。

 交渉にあたった井手編成担当は井端の3億円について、こう評価した。「うちは守備を優先に考えますから。144試合、ずっといてもらわなければ困るというのは井端くらい。代わりがいない。もちろん立浪の代わりとしてもやってもらわないといけない」。守りの野球を掲げる落合中日にとって代役のいない選手であり、今季からは引退した立浪に代わって、チームリーダーとしての期待料も含まれている。

 新リーダーの井端は早速3つの“マニフェスト”を掲げた。「3年も優勝から遠ざかっていますし、まず巨人を止めたい。個人的には3割3分を超えてタイトルをとりたい。出塁にもこだわっていますから、4割以上は出したい」。(1)巨人を倒してのV奪回、(2)打率3割3分以上での首位打者獲得、(3)出塁率4割以上。いずれも自身の役割、そしてチームの状況を考えたもの。3億円プレーヤーとして真価を問われるシーズンになる。【鈴木忠平】