「外野手西村」で特別ボーナス!

 阪神西村憲投手(23)が29日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、1380万円増の年俸2300万円でサインした。2年目からセットアッパーに定着し、大幅アップを達成。さらに9月9日中日戦(甲子園)では急造外野手として2イニング守り、特別昇給もゲットしちゃった。(金額は推定)

 査定表の備考欄。ここに本来はあり得ない特別ポイントが書き込まれていた。誰もが驚いたスペシャル起用。あの危機を救った「外野手西村」が高く評価された。

 西村

 「それも評価している」と言われました。額は分かりませんが…。

 本人も苦笑いで振り返る。9月9日の中日戦(甲子園)。白熱した首位攻防戦で前代未聞のドラマが起こった。延長10回裏にブラゼルが退場となり、残りの野手はゼロ。苦境に立たされ、首脳陣は外野手西村を選択した。福岡工大城東高以来という外野守備を右翼、左翼で2イニング。守備機会こそなかったが、12回引き分けに持ち込む立役者となった。虎党の記憶にも残るこの1試合が、よもやの特別昇給を呼び込んだ。

 沼沢球団本部長

 もちろん査定に入っている。ポイントは加算している。選手がいない中で守ってくれたんだから特別ポイントです。普通の外野手の守備固めとは全然違う。1回飛んできていたら、またプラスになっていた。

 あくまで特別査定。150%アップの年俸2300万円は本業の成せる業だ。2年目の今季は開幕からセットアッパーに定着し65試合登板で7勝3敗、防御率3・89。ブレークした若手を対象とする、総額1000万円の「真弓監督フレッシュ大賞(M-1)」も藤川俊、秋山と分け合った。その上、外野手出場で特別昇給のおまけもついた。

 ただ、浮かれた様子は一切ない。シーズン終盤は疲労蓄積から安定感を欠き、2軍降格も経験した。「歩幅が違ったり、思ったようなフォームで投げられず、球も走っていないと感じていた」。疲労を抜くため秋季キャンプには参加しなかったが、12月上旬にはスローイングを再開予定。今後は鳴尾浜、甲子園、大学時代から通う福岡の病院で自主トレに励む。

 西村

 キャンプインに逆算してやっています。来年1年、体力を維持できるように。オフは自覚を持った行動を取ってチーム、個人で今年以上の成績を出したい。試合に投げて勝利に貢献するだけ。いつでも行けるように準備したい。

 今季は投手で65試合、外野手で1試合の計66試合に出場。11年もポジションにはこだわらず、泥臭く出番を待つ。